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欧米の偽善とロシアの立場
―― ユーラシア連合と思想の衝突

アレクサンドル・ルーキン ロシア外務省外交アカデミー副学長

What the Kremlin Is Thinking
―― Putin's Vision for Eurasia

Alexander Lukin ロシア外務省外交アカデミー副学長。モスクワ国際関係大学・東アジア・上海協力機構研究センター所長。

2014年7月号掲載論文

冷戦が終わると、欧米の指導者たちは「ロシアは欧米と内政・外交上の目的を共有している」と考えるようになり、何度対立局面に陥っても「ロシアが欧米の影響下にある期間がまだ短いせいだ」と状況を楽観してきた。だが、ウクライナ危機がこの幻想を打ち砕いた。クリミアをロシアに編入することでモスクワは欧米のルールをはっきりと拒絶した、しかし、現状を招き入れたのは欧米の指導者たちだ。北大西洋条約機構(NATO)を東方に拡大しないと約束していながら、欧米はNATOそして欧州連合を東方へと拡大した。ロシアが、欧米の囲い込み戦略に対する対抗策をとるのは時間の問題だった。もはやウクライナを「フィンランド化」する以外、問題を解決する方法はないだろう。ウクライナに中立の立場を認め、親ロシア派の保護に関して国際的な保証を提供しない限り、ウクライナは分裂し、ロシアと欧米は長期的な対立の時代を迎えることになるだろう。

  • 「ポストソビエト・コンセンサス」
  • 欧米のダブルスタンダードと偽善
  • ウクライナ危機
  • 思想の衝突
  • ウクライナの「フィンランド化」を

<「ポストソビエト・コンセンサス」>

1991年のソビエト崩壊からしばらくすると、欧米の指導者たちはロシアをパートナーとみなし始めた。真の同盟国とみなすことは決してなかったが、それでも、アメリカとヨーロッパは「ロシアは欧米と内政・外交上の目的を共有している」と考え、いずれ、国内で欧米流の民主主義を確立し、対外的にもリベラルな規範を受け入れるようになると期待するようになった。

もちろん、話はそう簡単ではなかった。それでもワシントンとブリュッセルは、ロシアの政治的特異性は国家的な特質とまだ民主主義の経験が十分ではないためだと状況を楽観した。旧ユーゴスラビア、イラク、イランをめぐってロシアと対立しても、欧米の指導者たちは、ロシアが欧米の影響下にある期間がまだ短いせいだと考えた。こうした一連の理屈を、ロシアに関する欧米の「ポストソビエト・コンセンサス」と呼ぶこともできるだろう。・・・

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