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ドイツ経済モデルの成功
―― 他の先進国が見習うべき強さの秘密とは

スティーブン・ラトナー
前米財務長官顧問

The Secret of Germany's Success

Steven Rattner 前財務長官顧問で、オバマ政権の自動車産業再編に関する首席アドバイザーを務めた。ニューヨークタイムズ紙の記者を経て、金融界に転じ、リーマン・ブラザーズ、モルガン・スタンレーを経て、ラザード・フレールの副理事長を務めた。現在は、ニューヨーク市のブルームバーグ市長の資産運用アドバイザーを務めている。

2011年7月号掲載論文

ドイツ経済の成功は、中国、インド、その他の新たな経済的巨人が台頭する環境でも、先進国が競争力を維持できることを示している。ドイツモデルを他の先進国が取り入れるには、各国の政治家が2005年にシュレーダー独首相が示したような決意あるリーダーシップを示す必要があるし、国の比較優位をうまく生かす方法を見極めなければならない。付加価値連鎖のなかのもっとも高い部門を重視するのが、先進国経済が状況を先に進める上で、もっとも間違いのないやり方だ。実際、ドイツの工業的成功の多くは、製造業の二つの高付加価値部門が牽引してきた。第1は、ミッテルスタンド(中小企業)がひしめき合う工作機械部門、第2は、ドイツ経済のスターである、BMW、ダイムラー、ポルシェ、アウディといったブランド企業が牽引する自動車産業だ。ドイツは雇用と高付加価値の製造業を大切にすることを決断し、この決定が経済的成功に大きな貢献をしている。

  • 復活した輸出大国
  • 賃金よりも雇用を選らんだドイツ
  • EUにはよくないが、ドイツには好ましい
  • ドイツモデルとは

<復活した輸出大国>

アメリカ人は一向に解決しない経済問題、特に、高い失業率への苛立ちを高めているが、ドイツはまったく逆のムードに包み込まれている。他のユーロゾーンにおける経済危機も、中東の不安定化も、ドイツの財界指導者や政治指導者の自信と確信を揺るがすことはない。それは、大きなコストを要した東ドイツの再編・統一後の20年を通じて、「再び経済的巨人として地位を確立した」という自負に他ならない。

こうしたドイツの楽観主義には応分の根拠がある。アメリカでは、最近のリセッションに入って以降、2007年に4・6%だった失業率が2011年には9%へと上昇したのに対して、ドイツの同時期における失業率は逆に8・5%から7・1%へと減少している。・・・

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