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感染症という名の新たな脅威

ローリー・ギャレット 『ニューズデイ』紙医学・科学担当記者

The Return of Infectious Disease

ローリー・ギャレット『ニューズデイ』紙の医学・科学担当記者で、ハーバード大学研究員として手がけた調査研究をもとにThe Coming Plague: Newly Emerging Disease in a World Out of Balanceを上梓。

1996年3月号 掲載論文

さまざまな抗生物質・薬品に対する耐性を備えた遺伝子をもつプラスミドの登場とともに、感染症という侮れない脅威が再び猛威をふるいだしている。人間が細菌・ウイルスに対抗していくために必要とする抗感染症薬という兵器庫は、新たな環境につねに変化・適応する細菌という脅威の前には、非現実的なまでに貧弱だ。さらに悪いことに、都市化、地球規模での人口移動の波は、人間の行動パターンだけでなく、細菌と人間のエコロジカルな関係も劇的に変化をさせている。性交渉によって感染が拡大し、しかも都市部のブラック・マーケットで抗菌薬・抗生物質が入手できるために、貴重な薬品が乱用・誤用され、その結果、新たな耐性菌や寄生虫が誕生している。耐性菌やウイルスの脅威に加え、生物兵器戦争を目的とした毒性の強い細菌をつくりための遺伝子研究さえ行われているのが現実だ。われわれは、感染症を「安全保障上の明確な脅威」ととらえ、これに対抗すべく、医学、法律、社会、経済的観点からの包括的な方策を模索していかなければならない。

  • 耐性菌、そしてプラスミドの登場
  • 人、そして細菌の移動
  • 病原菌媒介者としての都市
  • エイズ
  • 生物兵器と細菌戦の脅威
  • 危機にさらされた世界
  • 対応策はあるのか

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