貿易の停滞と海運産業の再編
―― 停止した国際貿易の成長
2016年11月号

貿易が大きく拡大する時期には貨物運賃が上昇するため、海運会社はより大きく、より高価な船舶を発注する。しかし3―4年経って船が完成するころには経済状況が様変わりしていることも多く、過剰な積載容量を抱え込んで運賃が低下し、拡大路線をすすめた海運会社が破綻することも多い。現在起きているのはこうした海運業界につきものの景気の波だが、そこに新たな要素が加わっている。2008―2009年に西半球・ヨーロッパならびに一部アジア地域をおそった金融危機の影響で、第二次世界大戦以降初めて、国際貿易の成長がとまってしまったことだ。巨額の損失を計上して経営破綻し、買収・合併され、合弁事業化されるケースが相次いでいる。2015年には、コンテナ取引量はオークランドで5%近く、東京で6%、シンガポール、ハンブルク、香港では約9%と各港で落ち込んだ。コンテナ海運業界の波乱は短期間では終わらないだろう。