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米国に関する論文

民間インフラへのサイバー攻撃に備えよ
―― 中国の攻撃を阻む戦略とは

2025年10月号

アン・ニューバーガー フーバー研究所 特別客員研究員

中国のサイバー支配は、テレコミュニケーション部門の諜報活動にとどまらない。アメリカのエネルギー、水道、パイプライン、交通の制御システムから中国のマルウェアが発見されている。目的は、米市民の日常生活や米軍の作戦行動を妨害するための破壊工作にあるようだ。動員を遅らせたり、航空管制システムを妨害したりできる。実際、台湾危機のタイミングで、中国が、アメリカの鉄道網を寸断したり、東海岸全域で停電を引き起こしたりすれば、どうなるだろうか。中国が優位にあるサイバー空間で、防衛を強化していくカギは、現実世界をサイバー空間に忠実に再現できるデジタルツインを応用することかもしれない。

中国経済モデル 強さの源泉
―― 北京の方程式とワシントンの誤認

2025年10月号

ダン・ワン スタンフォード大学 フーバー研究所 研究員
アーサー・クローバー ガベカル・ドラゴノミクス 創設者

北京は今後を左右する経済戦略部門を選び、そこに補助金を注ぎ込んだ。しかし、これだけでは北京の産業政策は説明できない。レジリエントな技術大国となるために必要な奥深いインフラを整備したからこそ、中国は成功した。パワフルな電力網とデジタルネットワークを中核とするイノベーション・エコシステムを形作り、高度な製造知識をもつ大規模な労働力も育んだ。これが大きな力となっている。関税や規制でワシントンが中国の成長のタイミングを遅らせようとしても効果はない。ライバルを弱体化させる方法を考える時間を減らし、ワシントンは、自国を活力ある、ベストの状態にもっていく方法を考える必要がある。

大陸国家と海洋国家
―― アメリカの混乱と世界秩序

2025年10月号

S・C・M・ペイン 米海軍大学校 名誉教授(歴史、大戦略)

中国やロシアのような大陸覇権国は、国際システムを巨大な勢力圏に分割すべきだと考える。一方、海洋で守られ、侵略される危険が小さい海洋国家は、争うのではなく、富を蓄積することに専念する。領土ではなく富にパワーは根ざすとみているからだ。だが、現在のアメリカは、まるで大陸国家のように振る舞っている。あまりにも多くのアメリカ人が、海洋国家秩序の恩恵を当然視し、その欠点ばかりを指摘し、その過程で、地理的・歴史的な優位を無駄に浪費している。貿易障壁を築き、近隣諸国を脅し、国際機関を弱体化させるといった大陸国家のパラダイムに回帰すれば、アメリカは再起不能に陥るかもしれない。

新しい経済地理学
―― ポストアメリカ世界の荒涼たる現実

2025年10月号

アダム・S・ポーセン ピーターソン国際経済研究所 所長

トランプの新路線が望ましい再編を促すと考える人もいる。だが、彼の政策を前に、各国の政府と企業が、最終的にニューノーマルを受け入れ、アメリカに利益がもたらされるという見方は、幻想にすぎない。それどころか、トランプの世界では、誰もが苦境に陥るし、アメリカも例外ではない。アメリカに最大の利益をもたらし、同盟国やパートナーに安心と繁栄をもたらしてきたシステムを彼は破壊してしまった。特に、カナダ、日本、メキシコ、韓国、イギリスなど、米経済ともっとも密接に結びつき、これまでのゲームルールを忠実に守ってきた諸国の経済は大きなダメージを受けるだろう。トランプは楽園への道をつくり、カジノを建設した。だが、その駐車場はやがて空っぽになるはずだ。

中東の新たな仲介者
―― 湾岸諸国の新しい役割

2025年9月号

ハサン・T・アルハサン 英国際戦略研究所 中東政策担当シニアフェロー
エミール・ホカイエム 英国際戦略研究所 ディレクター(地域安全保障担当)

湾岸諸国の核心的な戦略利益は、イラン、イスラエル、またはトルコのような第3のアクターを含むいかなる国も、地域的支配を確立する力をもてないようにすることだ。ワシントンを、イスラエルを抑え、地域紛争を永続的に終わらせる上での信頼できるパートナーとみなす考えは裏切られた。結局、ホワイトハウスはネタニヤフの戦略を受け入れた。いまや湾岸諸国は、より不安定な中東に備える計画を立てることを迫られている。特に、ネタニヤフが表明した「中東の再編」という考えを彼らは深く憂慮している。中東を戦争態勢から解き放つために、湾岸諸国に何ができるのか。それは、イランとアメリカ間の核合意を調停することかもしれない。

北極圏のグレートゲーム
―― 米中ロの大国間競争

2025年9月号

ヘザー・A・コンリー 元米国務次官補(ヨーロッパ担当)

トランプは大統領就任後、北極圏における領土獲得の可能性に照準を合わせ、カナダを「51番目の州」と呼び、デンマーク領のグリーンランドについては「いずれにせよ」アメリカが「獲得する」と宣言した。今後の展開がどうなろうと、北極圏の重要鉱物、海上航路、漁業、天然資源、海底採掘、衛星通信をめぐる大国間の争いが発生するのは避けられない。ロシアと中国に比べて、アメリカは大きく出遅れている。北極圏戦略の欠陥と矛盾を早急に解決する必要がある。

貿易戦争後の世界
―― システム崩壊からルール再構築へ

2025年9月号

マイケル・B・G・フロマン 米外交問題評議会 会長

今後の世界経済は、第二次世界大戦前のシステムに近づいていくのかもしれない。関税水準がどこに落ち着こうと、現在の貿易戦争は、貿易障壁を大幅に引き上げることになるはずだ。貿易障壁の拡大は成長を鈍化させ、生産性を低下させる。ルールが骨抜きになると、不確実性や摩擦が生じ、不安定化や紛争につながっていくおそれもある。前進するための最良の選択肢は、同じ考えを共有する国家集団による、開かれた、多国間よりも小規模な「複数国間(plurilateral)のネットワーク」を形作ることかもしれない。これらが織りなす重層的な構造があれば、グローバルなルールに基づくシステムがなくても、ルールによって形作られるグローバル経済を実現できるようになる。

同盟関係の崩壊と米国の孤立
―― 同盟破壊という愚行

2025年9月号

マーガレット・マクミラン オックスフォード大学 名誉教授(国際史)

現在のアメリカは、イギリスが帝国の全盛期に経験した状況に直面している。世界最大の軍事大国であることは重い負担であり、それもあって、債務が驚くべき水準に膨らんでいる。中国をはじめとする野心的大国は、ますます高額化する軍備競争に資源を投入している。そして、歴史的に繰り返されてきた通り、他の諸国は古い大国を見捨てて、新興大国に乗り換え、その衰退を機に団結して対抗する誘惑に駆られている。トランプ政権が同盟国への敵対的な姿勢を継続し、長年のパートナーを侮辱し、経済的に損害を与えるような行動を続けるなら、アメリカの前にあるのは、ますます敵対的な世界になるはずだ。

驚異的なドローン革命
―― ウクライナからいかに学ぶか

2025年9月号

ジョン・ファイナー 元米大統領副補佐官(国家安全保障担当)
デイヴィッド・シャイマー 元米国家安全保障会議(NSC)部長

ウクライナ軍の前線部隊は、ドローンの戦場におけるパフォーマンスを軍需企業に伝え、企業側はこれを基にシステムを常に改善し続けている。アメリカを含む世界のほとんどの国々は、兵器のフィードバックと改善という領域でウクライナに大きな後れをとっている。すでにウクライナとロシアは、ドローンなどの防衛技術にAIを徐々に組み込むことで、イノベーションをさらに進化させている。もしアメリカがウクライナ支援から手を引けば、実績のある防衛技術や戦場における知見、ロシアの軍事パフォーマンスに関するデータへのアクセスを失う危険がある。

アメリカと世界経済の未来
―― 不安と不確実性の時代

2025年8月号

モハメド・エル・エリアン ケンブリッジ大学 クイーンズ・カレッジ学長

経済・財政的にみると、現在のアメリカは、途上国に似た状況にある。不備のある税制で歳入を切実に必要としている途上国のように、多くの輸入品に唐突に高関税を課している。この行動を続ければ、途上国のように資本流出に直面し、対米投資をためらう流れが生じる。ワシントンはグローバル秩序の基盤を揺るがし、しかも、そこには「次の何か」への複雑な移行を誘導できる信頼できる道筋や指標がなく、世界は大いなる不確実性に備えなければならない状況にある。シナリオは二つある。

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