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米国に関する論文

東南アジアの選択
―― なぜ中国に傾斜しているか

2025年8月号

ユエンフォン・コン シンガポール国立大学 公共政策大学院 教授
ジョセフ・チンヨン・リウ 南洋理工大学 教授

「米中のどちらかを選んでいる」という自覚はないのかもしれないが、東南アジア諸国の多くが、アメリカから離れて、中国へ傾斜しているのはいまや明らかだろう。しかし、そのパワーを北京がどのように使うかをめぐって、地域諸国が大きな懸念をもっているのも事実だ。実際、この地域のエリートを対象とする調査で「誰を信頼しているか」という問いで、第1位に選ばれたのは日本で、中国は4位だった。流れは中国にあるとしても、北京が地域諸国の懸念を和らげ、信頼を勝ちとるには、まだ、やるべきことが多く残されている。だが、2期目のトランプ政権の政策が、北京がこの課題を克服するのを容易にするのかもしれない。

もう誰も相手にしない
―― ポスト・アメリカ世界のアメリカ

2025年8月号

コリ・シェイク アメリカン・エンタープライズ研究所 ディレクター(外交・国防政策研究)

国際システムの他のアクターが(特定の言動に)どのように反応し、どのような流れを形作るかを予測することも外交手腕に含まれる。トランプ・チームには、そのような能力が欠落している。ワシントンのパートナーのなかには、友人であるアメリカが正気に戻ることを期待して、様子見をする国もあるかもしれない。しかし、もう元には戻れない。同盟国やパートナーの信頼と信用は修復不能なほどに損なわれている。いまや問うべきは、アメリカパワーの基盤だった米主導の協調的秩序から各国が手を引けばどうなるかにあるのかもしれない。

トランプは皇帝なのか
―― 独裁を阻む抑制と均衡の再確立を

2025年8月号

エリザベス・N・サンダース コロンビア大学 政治学教授

米大統領は、これまでもまるで帝国の指導者のようだったが、本当に皇帝のように振る舞おうとした大統領は、少なくとも、2期目のドナルド・トランプまではいなかった。米同時多発テロ以降、米議会は外交領域における大統領権限の拡大を認め、それを取り戻そうとしなかった。最高裁も、有意義な抑制を大統領に課すことに乗り気ではなかった。こうして、トランプは、外交政策や国家安全保障にわずかにでも関連する案件なら、ほぼ思うままにできるようになった。世界各国に追加関税を課し、議会が定めた対外援助を骨抜きにし、同盟国をいじめ、独裁者に言い寄っている。あらゆる制約がなくなれば、個人独裁体制下の指導者は間違った軍事的冒険主義をとり、衝動的な決定を下し、自滅的な政策をとりやすくなる。

イラン軍事介入という壊滅的ギャンブル
―― 何を達成できるのか
(6/21/2025)

2025年8月号

アンドリュー・P・ミラー 前米国務省副次官補(イスラエル・パレスチナ問題担当)

ネタニヤフの主張とは逆に、イランの最高指導者を殺害しても、それでイスラム共和国が崩壊するわけではないだろう。つまり、イランの体制を軍事的に粉砕するには、おそらく、大規模な地上部隊の投入が必要になる。イスラエル国防軍にはそのような役割を果たす遠征能力も規模もない。一方、米大衆は(イラク戦争のような)中東への悲惨な介入を繰り返すことには関心がない。仮にアメリカとイスラエルがフォルドゥを破壊し、あるいはイスラム共和国を倒すという目標に「成功」しても、それはおそらくはかない成果、あるいは(得るもののない)ピュロスの勝利に終わるだろう。(邦訳文は、トランプ政権による軍事攻撃の直前に発表された分析の抜粋・要約)

イラン・イスラエル紛争のエスカレーションリスク
―― ドキュメント(6/13/2025)

2025年7月号

ダニエル・シャピロ 前国防副次官補(中東担当)

6月12日夜、イスラエルはイランに対する一連の大規模な攻撃を実施した。標的にはイランの核施設、ミサイル発射サイト、複数の軍・政治高官が含まれていた。イスラエルのネタニヤフ首相はテレビ演説で成功を宣言した。一方、イラン政府高官は復讐を誓い、地域の指導者たちは混乱に備えた。イスラエルの攻撃が意味するものをより深く理解するために、フォーリン・アフェアーズのシニア・エディター、ダニエル・ブロックがダニエル・B・シャピロに話を聞いた。シャピロは2025年1月まで中東担当の国防副次官補を務め、イスラエルとイランの緊張が全面戦争に発展した場合のシナリオを検討し、それに対応するアメリカの選択肢を準備するタスクを課されていた。

米同盟諸国は自立と連帯を
―― トランプに屈してはならない

2025年7月号

マルコム・ターンブル 元オーストラリア首相

「原則を重視する寛大なアメリカ」を今も信じている人々にとって、いまは認知的不協和を引き起こすトラウマ的な状況にある。トランプ政権が作り出す現実は、はっきりしている。内外で法を顧みない行動をとり、各国へのいじめを繰り返し、協定や条約を破棄し、同盟国を威嚇し、独裁者に寄り添っている。米有権者は、この行動を最終的に(選挙で)判断することになる。だが、アメリカの同盟国はすでに心を決めているはずだ。トランプの威圧に屈する必要はない。同盟国が協力すれば、大きな影響力を行使できるし、ワシントンが作り出す大混乱に対抗できる。エマニュエル・マクロンが言うように、米同盟諸国は「いじめられない国」の連合を構築すべきだろう。

「アメリカの世紀」の終わり
―― ドナルド・トランプとアメリカパワーの終焉

2025年7月号

ロバート・O・コヘイン プリンストン大学名誉教授
ジョセフ・S・ナイ・ジュニア ハーバード大学名誉教授

この80年間にわたって、アメリカは、強制ではなく、他を魅了することでパワーを蓄積してきた。アメリカパワーを強化する相互依存パターンを破壊するのではなく、維持するのが賢明な政策だ。トランプが、米同盟諸国の信頼を低下させ、帝国的野望を主張し、米国際開発庁を破壊し、国内で法の支配に挑戦し、国連機関から脱退する一方で、それでも中国に対抗できると考えているのなら、彼は失意にまみれることになるだろう。アメリカをさらにパワフルにしようとする彼の不安定で見当違いの試みによって、アメリカの支配的優位の時代、かつてヘンリー・ルースが「アメリカの世紀」と命名した時代は無様に終わるのかもしれない。

台湾侵攻を阻む抑止力の強化を
―― 軍事・外交・経済の適切なバランスを

2025年7月号

オリアナ・スカイラー・マストロ スタンフォード大学国際問題研究所 センターフェロー
ブランドン・ヨーダー オーストラリア国立大学 上級講師

中国の台湾侵攻を阻む抑止力を最大化するには、米台の防衛力を強化し、北京を安心させ、経済デカップリングなどの経済圧力策の行使を控えて軍事・外交・経済の適切なバランスをとる必要がある。問題は、これら三つをどのようなバランスで組み合わせるのが最適なのかに関するコンセンサスがほとんどないことだ。こうして、軍事力の強化は道半ばとなり、台湾に関する「戦略的曖昧さ」路線の揺らぎが北京の不安を高めている。その行使を控えることで、危機の際に抑止力を強化できるはずの経済圧力が、すでに高度に利用されている。軍事的即応態勢と軍事能力の強化に投資し、慎重な発言を心がけ、経済的なレジリエンスと一定の相互依存関係の維持に努めることが、台湾の安全強化につながる。

新しい問題と古いアプローチ
―― 政府の制度と役割をいかに見直すか

2025年7月号

セシリア・ラウズ ブルッキングス研究所 所長

危険と不透明性が高まっている時期に、市場で解決できない部分に介入し、人々を守り、変化を乗り切るのを助ける。これが、政府の役割だ。アメリカでは、所得格差、気候変動、AIによる社会再編など、先行き不透明感は高まっている。政府は、多くの人が「真の問題」と考えるものだけでなく、不確実な問題にも対処しようとしている。この過程で、指導者たちは、政府の機能を見直す必要に迫られる。これまでの進歩を維持し、先に進むのを妨げない柔軟な政府制度が必要になる。政府が時代遅れの手法をとり続ければ、現在の問題には対処できない。規制と規制緩和のバランスを見直すことも、経済活動や経済価値の実態を十分反映できる指標を考案する必要もある。

それでも、ドルの覇権は続く
―― 他に選択肢はない

2025年7月号

エスワール・プラサド ブルッキングス研究所 シニアフェロー

トランプ政権の関税策、そして彼がアメリカの法の支配に与えているダメージによって、2025年の成長見通しだけでなく、外国為替市場におけるドルの強さも脅かされている。1世紀以上にわたって準備通貨として君臨してきたドルも清算の時を迎えつつあるかにみえる。だが、有力な代替基軸通貨が存在しないために、今のところ米ドルがその地位から転落することはなさそうだ。実際、「ドル覇権の崩壊」という見通しは、他の主要通貨がドルに取って代わる機会を生かさなければ、実現しそうにない。他の準備通貨の脆弱性、経済・金融の混乱時における安全な金融資産への大きな需要があることを考えれば、ドル優位の時代の終わりを宣言するのは時期尚早かもしれない。

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