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米国に関する論文

相互主義と同盟関係
―― 帝国から共和国へ

2025年12月号

オレン・キャス アメリカン・コンパス チーフ・エコノミスト

冷戦後には、世界各国がワシントンの気前のよさにつけ込む世界経済秩序が出現した。しかし、グローバル化と市場経済が政治経済の境界をなくすという賭けは失敗に終わり、いまは新たな賭けが必要とされている。持続可能な貿易・安全保障ブロックを構築する最善の方法は相互主義の大戦略だろう。これは、同等の条件で互いに関与することを約束する諸国との同盟で、同じ義務を果たそうとしない国は排除される。例えば、貿易不均衡の是正に取り組むことを拒否する国は、共通市場から追放し、高関税策の対象とされる。安全保障領域では、アメリカの同盟関係とパートナーシップをゆっくりと蝕んできた「ただ乗り」を制限する。覇権も世界秩序も必要ではなく、アメリカは世界から後退することもできる。

新たなユーラシア秩序
―― 進化する中ロ連携と米同盟関係の再編

2025年12月号

ジュリアン・スミス 元NATO米大使
リンジー・フォード 前米国家安全保障会議 上級部長

中ロが秩序形成で連携し、ユーラシアでより統一された競争空間を作り出している。これに対し、アジア・ヨーロッパ諸国は連帯し、急速に相互関係を変化させている。こうした新しいネットワークは、ワシントンがそれにどう関わるかで、アメリカの利益にプラスにもマイナスにも作用する。だが、ワシントンは、アジアとヨーロッパの同盟諸国に(歩み寄って連携するのではなく)自分の地域に留まるようにと促している。現実には、アジアとヨーロッパの境界線は曖昧になりつつある。アメリカは同盟諸国が構築する新たなネットワークに抵抗するのではなく、それへの影響力を適切に行使すべきだろう。

兵器化された相互依存
―― 経済強制時代をいかに生き抜くか

2025年12月号

ヘンリー・ファレル ジョンズ・ホプキンス大学 アゴラ研究所 教授
エイブラハム・ニューマン ジョージタウン大学外交学院 教授(政治学)

ワシントンは、相互依存状況を、どのように兵器として利用するのが最善かをこれまでも考えてきた。一方、多くの国は、法の支配と同盟国の利益を考慮するアメリカは、ある程度は私利私欲を抑えると考え、リスクがあるとしても、アメリカの技術と金融インフラに依存することを躊躇しなかった。だが、いまやアメリカは経済強制策を乱発し、中国などの他の大国も相互依存状況を兵器化するようになった。当然、敵対国も同盟国も相互依存を兵器化できる世界における新しい経済安全保障概念が必要とされている。いまや、経済的・技術的統合は、成長のポテンシャルから、脅威へと変化している。

イランとアメリカ
―― 対立の歴史を終わらせるには

2025年11月号

バリ・ナスル ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際関係大学院 教授(国際問題・中東研究)

12日間戦争は明らかにイランを弱体化させ、これまでのテヘランの戦略は、持続不可能な状態に陥った。この現状なら、ワシントンはイランを封じ込めたままにし、イスラエルに時折「草刈り」をさせることもできる。だが、テヘランに外交を試みることもできるはずだ。テヘランとの関係を新たな軌道に乗せ、イランの外交・核政策と政治指導層内のパワーバランスの双方を変えるような新たな外交取引を模索すべきだろう。たとえ両国の歴史が失われた機会に満ちていようと、過去が必ずしも今後のプレリュードである必要はない。両国はイランの核能力に関する緊急の合意をまとめるためだけでなく、信頼を築き、両国関係の新たな道筋を示すためにも、外交を受け入れる必要がある。

世界貿易の真の再編を
―― 公正貿易同盟の形成を

2025年11月号

ウォーリー・アデエモ 元米財務副長官
ジョシュア・P・ゾファー 元米大統領特別補佐官(経済政策担当)

グローバル貿易システムを再編する必要があると考えている点では、トランプ大統領は正しいが、関税を用いた現在のアプローチでは、それで治そうとしている病以上に、深刻な事態を引き起こす恐れがある。必要なのは、ルールに基づく公正な貿易、アメリカの競争力を強化するグローバルな協調に基づく新しい貿易システムだ。中国に象徴される不公正な貿易慣行と歪んだ競争を問題解決のターゲットに据えた、「公正貿易のための自由貿易同盟」を立ち上げるべきだろう。いまなら、次の大きな貿易再編の主導権をワシントンがとって、世界経済を自由貿易の恩恵を開花させるシステムへと導けるかもしれない。

地政学的「欧米」の終焉
―― アメリカの離脱とポスト欧米世界の行方

2025年11月号

スチュワート・パトリック カーネギー国際平和財団 シニアフェロー

信頼できる地政学的単位としての欧米の終焉は、アメリカとかつてのパートナーが異なる行動と議論を示し、対立する状況を頻繁に出現させることになるだろう。ワシントンによる国際主義の放棄、自由主義的規範やアジェンダ設定への無関心は、欧米の価値と脅威認識にギャップを生じさせ、欧米の地政学連帯を根本的に分断していくはずだ。現在の流動的局面では、ブラジル、インド、インドネシア、南アフリカといった国々が、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、イギリスといった先進国と協力する機会を提供すると考えられる。だが、欧米という枠組みがなくなれば、疑念、敵意、対立、そして紛争が生じやすい世界が残されることになる。

アメリカとイスラエル
―― 中東和平をめぐる同床異夢

2025年11月号

ヨースト・R・ヒルターマン 国際危機グループ 中東・北アフリカ担当特別顧問
ナターシャ・ホール 戦略国際問題研究所 上級研究員(非常勤)

イスラエルがカオスを作り出し、アメリカが不本意ながらその流れに追随するという、はっきりとしたパターンが生まれている。このダイナミクスを断ち切るには、アメリカは地域的な安定を促進する路線をイスラエルが維持するように、継続的な圧力をかけなければならない。イスラエル政府はハマスとの戦争継続を望んでいたが、トランプが強い調子で働きかけた結果、今回はガザ合意に署名するほかなかった。だが、ネタニヤフがいずれハマスに対する戦争を再開し、人道的支援を妨害する可能性はある。二国家解決策をイスラエルが拒絶しているという基本問題も残されている。強い圧力をかけ続けない限り、今回の合意でも、いつものパターンが繰り返されることになるかもしれない。

二つの東南アジア
―― 大陸国家と海洋国家の分裂

2025年11月号

スザンナ・パットン ローウィー研究所 東南アジアプログラム・ディレクター

東南アジアには二つの国家集団が存在する。カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムなどの中国寄りの大陸国家、そして、米中間のバランスをとるインドネシア、マレーシア、シンガポールなどの海洋国家の集団だ。東南アジアの海洋国家は大陸国家よりも規模が大きく、世界貿易で重要な役割を果たし、より多くの投資や開発資金が外国から流入している。東南アジア諸国を構成するこれら二つのネットワーク間の格差は今後数十年で拡大し、大陸部東南アジアは中国の事実上の勢力圏になるだろう。現実には、この地域での米中バランスは、今後、ベトナムとタイとの関係に左右されることになると考えられる。

揺るがされたアメリカへの信頼
―― 不安定化する世界

2025年11月号

カレン・ヤーヒ=ミロ コロンビア大学 国際公共政策大学院 学院長

トランプは、立場を後退させる前にまず取引を提案する。戦争を拡大する前に、戦争を終わらせると約束する。同盟国を叱責し、敵対国を受け入れる。唯一のパターンとは、パターンが存在しないことだ。一部の分析家が指摘するように、トランプのアプローチは一時的な国際的勝利を一部でもたらしている。だが長期的には、このアプローチでアメリカが強化されることはない。最終的に、各国は他国と連帯して国を守る道を選ぶはずだからだ。その結果、アメリカの敵対国リストは増え、同盟関係は弱体化する。つまりワシントンはますます孤立し、その威信を回復する明確な道筋を見失う可能性がある。

アメリカ後の自由主義秩序を守る
―― 民主諸国の協調と連帯

2025年10月号

フィリップス・P・オブライエン セント・アンドリューズ大学 教授(戦略研究)

多くの国は、トランプ政権に媚びへつらい、米大統領を過度に称賛する努力を重ねてきたが、トランプを懐柔する戦略は失敗する可能性が高い。そうであれば、民主主義と旧来のルールに基づく秩序にいまもコミットする諸国は、国際関係を再構築し、アメリカの気まぐれから自らを隔離し、この極めて不安定な時代にあっても自分たちの自由を広く守る努力をするのが理にかなっている。実際、トランプの勢力圏構想が実現すれば、アジア、ヨーロッパ、北米におけるワシントンの民主的同盟国がアメリカによって守られることはなくなるだろうし、民主諸国は、世界の他の国々を合わせたよりもはるかに多くの核兵器を保有する米中ロという三つの大国と対峙することになる。

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