《「競争力神話」論争》
批判に応える
1994年9月号

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1994年9月号
1994年5月号
「国家が直面する経済問題を、世界市場をめぐる競争力の問題とみなし、コカ・コーラとペプシがライバルであるのと同様に、米国と日本がライバルであるかのようにとらえる見方」がいまや普遍的になされ、「貿易収支を国家の競争力の目安」とする考えがもてはやされている。その結果、「輸入によって高賃金の雇用が失われ、補助金をバックにした諸外国の競争によって、米国は高付加価値部門からの締めだされつつある」という認識が定着しつつある。だが、企業と国家を同一視し、貿易収支を国の競争力の目安と見るのは、完全な誤りである。競争力を軸とする誤った前提を今後も受け入れ続ければ、国内・国際経済の双方における誤った政策の採用に道を開き、国内の生産性は停滞し、貿易紛争の激化は不可避となる。なぜ、経済問題に対して競争力を軸とする説明がなされがちで、それが安易に受け入れられてしまっているのか。どうしてそれが誤っているのか、われわれはその前提を根本から検証し直す必要がある。
1993年7月号
「米国内では、他の諸国が<アンフェア>な貿易活動に従事しているのに、米国だけが武器ももたずに貿易に従事しているとみなす勢力が力を得てきており、その結果、これまでの無策を改め、攻撃的な貿易政策への転換を図るべきだという主張がなされている」。問題は、衰退論を背景として、米国がこうした認識の違いを前提とする政策の採用に傾きつつあることである。現状が放置されれば、世界はブロック経済の方向へと向かいかねない。