いまこそイランとの緊張緩和を
2007年9月号

この30年近く、双方の敵意に満ちた感情と無責任なレトリックゆえに、アメリカとイランが合理的関係を構築するのは不可能な環境にあった。イランの現実主義者は常にイデオロギー的強硬派に敗れ去り、アメリカとイランの共通の利益も、歴史的対立のなかで見えなくなっていた。しかし、現在、イランには新保守派のなかに力強い現実主義者の集団が誕生し、しかも彼らは、ワシントンとの協調路線を積極的に唱えている。これに呼応して、ワシントンが緊張緩和路線にそった包括的戦略を考案し、実施していけば、両国が相互の敵対感情を克服できる瞬間がいずれ訪れる。……アメリカが国交を正常化させ、両国が抱え込んでいるすべての懸案について話し合いを始めれば、イランは正統な必要性を満たすことを優先させるのか、それとも、自己欺瞞の妄想にとらわれ続けるのかを選ばざるを得なくなる。