
イスラム国がイラク北部を攻略したことで、石油都市キルクークの帰属を中心とするクルド自治政府とイラク政府の対立も実質的に消滅した。その直後、バルザニ・クルド自治政府議長は独立に向けた住民投票を実施すると表明した。欧米諸国はイスラム国対策として、クルド自治政府との軍事協調戦略を(バグダッドの頭越しに)スタートさせた。バグダッドも、クルド自治政府が管理するあらゆる地域における石油と天然ガスの生産と販売についてエルビルが法的主権をもつことをすでに受け入れている。トルコ、そしてイランさえもクルドの独立を追認するかもしれない。だが、こうした好ましい環境はそう長続きはしない。イラクにおけるイスラム国の脅威が低下し、欧米の関心がもっぱらシリアに向かうようになれば、クルド自治政府は、住民投票を先送りするように求める圧力に次第にさらされるようになる。・・・