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日本に関する論文

進化する総合安全保障政策と日米同盟の行方

2002年9月号

外交問題評議会シニアフェロー エリック・ヘジンボサム   マサチューセッツ工科大学 政治学教授 リチャード・J・サミュエルス

平和主義、ノーマルな国家になることへの模索、アメリカへの追随、中国に対する反発といった一般通念では、もはや日本の外交路線は説明できない。ワシントンは、日本の総合安全保障概念が進化し、これを支える二重保険戦略が生まれていることを直視し、この戦略と共存していく道を学んでいく必要がある。

ブッシュ政権の対北朝鮮強硬策の全貌
――「強硬なエンゲージメント政策」の目的は何か

2002年5月号

ビクター・D・チャ ジョージタウン大学外交学部準教授

「対話と交流を重ね、変化が起こるのを辛抱強く待つ」という、かつての対北朝鮮エンゲージメント政策はすでに放棄されている。脅威を醸成し、それをカードに利益を引き出すという平壌のやり方をブッシュ政権が今後容認することはあり得ない。強硬なエンゲージメント政策の本質は、関与策を通じて、平壌の敵意に満ちた意図を暴き、それが白日の下にさらされた場合には強硬策をとり、半島の統一を前提に、東アジアの戦略環境を整備していくことにある。

朝鮮半島の平和的進化への道筋──米軍の全面撤退を検討せよ

2002年1月号

セリグ・ハリソン センチュリー財団研究員

未来がいかなるものであっても、朝鮮半島は米中間そして日中間の緊張の焦点であり続ける。北朝鮮の脅威がなくなった後も半島での軍事プレゼンスをアメリカが維持すれば、北京政府が、それをアメリカによる中国封じ込めだと考えてもおかしくはないし、中国と日本の旧来の敵意を再燃させることにもなる。まず、経済交流と三十八度線での軍事的緊張緩和に必要とされる法律的枠組み、交渉枠組みの条件を整えるべきである。次に、南北間の緊張が低下し、南北国家連合形成の流れが勢いを持ち始めたら、アメリカは朝鮮半島の非核化構想とともに米戦力の朝鮮半島からの撤退を申し入れ、アメリカと中国はそれぞれソウルと平壌との相互安全保障同盟を同時に解消すべきだろう。

Classic Selection 2002
1940年体制の弊害を克服するには

2002年1月号

ウィリアム・H・オーバーホルト ハーバード大学アジアセンター研究員

現在、日本を機能不全に陥れている制度上のルーツは、現行の制度の多くをいまだに支配している1937~45年に作られた「1940年体制」に求めること ができる。この体制は日本の戦時経済を動かすために合理的に作られ、実際にうまく機能した・・・だが、かつては日本の再建と成長にうまく貢献した体制上の 特質が、いまやこの国を崩壊の瀬戸際へと追い込んでいる。

崩壊する「日本というシステム」

2001年9月号

レオナード・J・ショッパ バージニア大学準教授

いまや日本人は、日本のシステムからの「退出」路線を選ぶほうが、政府の政策を変えようと試みるよりも好ましいと確信しているようだ。運命共同体的な日本企業も二分され、競争力のある企業は自分だけのボートを保有するようになり、その結果、競争力のない企業が救済措置を求めて日本政府へ影響力を行使することにも異を唱えなくなった。日本の銀行や政府が、形ばかりの再建案と引き換えに、いまも債務まみれのゾンビ企業への新規融資や公共事業を提供するなか、競争力のある日本企業、老後を心配する市民、若い女性たちはこれまでの日本のシステムから退出しつつある。

Classic Selection 2001
日本システムから退出する企業と個人

2001年9月号

レオナード・J・ショッパ バージニア大学准教授(論文発表当時)

いまや日本人は、日本のシステムからの「退出」路線を選ぶほうが、政府の政策を変えようと試みるよりも好ましいと確信しているようだ。運命共同体的な日本企業も二分され、競争力のある企業は自分だけのボートを保有するようになり、その結果、競争力のない企業が救済措置を求めて日本政府へ影響力を行使することにも異を唱えなくなった。日本の銀行や政府が、形ばかりの再建案と引き換えに、いまも債務まみれのゾンビ企業への新規融資や公共事業を提供するなか、競争力のある日本企業、老後を 心配する市民、若い女性たちはこれまでの日本のシステムから退出しつつある。

日米企業の再逆転の真相

2001年6月号

クレイトン・クリステンセン ハーバード大学ビジネススクール教授  トーマス・クレイグ モニター・グループ ディレクター  スチュアート・ハート ノースカロライナ大学ビジネススクール教授

日本企業の経営陣は経営の金科玉条に従って、消費者のニーズに敏感に対応し、最大の利益を上げる新製品やサービスに集中的な投資を行った。だが、もはやそれだけでは成長は望めない。企業が市場の最上位に達し、成長を持続させるのに必要な市場規模を見いだせなくなると、痛みを伴う合併がゲームの「上がり」として待ち受けている。アメリカ経済が近年好調なのは、日本式経営の信用が落ちてアメリカ式経営のパラダイムが急に優勢になったからではなく、アメリカでは日本と違って既存市場へのディスラプティブ(下からの挑戦)・サイクルが繰り返されているからだ。

北東アジアの新局面

2001年2月号

ケント・E・カルダー 駐日アメリカ大使特別補佐官

金大中は南北首脳会談を通じて北朝鮮を孤立から救い出し、日本を安心させ、韓ロ双方にとって互恵的な経済取り決めによってロシアの利益認識も刺激してみせたが、北東アジアでの新たな力学はより大きくて予期せぬ変化を表へと引きずり出すかもしれない。一九九〇年代半ばに二十基だった台湾海峡地域に配備された東風二号などの短距離ミサイルの数は、九九年までに二百に達し、いまや一週間に一基ずつ増え続けている。現在形成されつつある流動性に満ちた北東アジア秩序には、一連の二国間安保関係だけでなく、トラック二プロセスを含む、より幅広い包括的安全保障メカニズムが必要である。

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