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中国に関する論文

CFRインタビュー
中国は北朝鮮とイランをどうみているか
―― 北京の核不拡散路線と米中関係

2006年1月号

アダム・シーガル
米外交問題評議会シニア・フェロー

現在の中国が北朝鮮の非核化を望んでいるのは明らかだが、一方で中国には、北朝鮮崩壊というシナリオを回避したいという思惑もある。その理由についてアダム・シーガル(CFRシニア・フェロー)は次のように述べる。「中国が恐れているのは、(北朝鮮が崩壊すれば)大量の難民が中朝国境に押し寄せ、すでに朝鮮民族が数多く暮らす国境地域をますます不安定化させてしまうことだ。北朝鮮の崩壊とともに、(すでに38度線付近に駐留している)在韓米軍が朝鮮半島を北上してきたら、どうなるかという不安もある」。一方イランの核問題については、「中国にとって、イランよりもアメリカのほうがはるかに重要な国であり」、「イランに対する経済制裁には反対しつつもその旗振り役にはロシアになってほしいと北京は考えていると思う」とコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

世界のエネルギー需要がたかまるなか、アメリカ、欧州連合(EU)、日本などの石油市場の主要なプレイヤーたちは、長期的なエネルギー資源調達をめぐる新たなライバルの登場という事態に直面している。それは中国に他ならない。急速な成長を続ける中国は、経済成長を持続させるのに必要な資源を世界各地から調達することを外交政策の目的に据え、各国の資源を自国への供給のために押さえようとしている。中東の不安定な情勢が長期化するなか、中国は、これまで世界がリスク要因の多さゆえに敬遠してきたアフリカの資源に目を向けている。中国のエネルギー調達戦略はアフリカをどのように変えているのか。

経済成長は本当に民主化を促すのか
―― 中国の民主化はなぜ進展しない

2006年1月号

ブルース・ブエノ・デ・メスキータ
ニューヨーク大学政治学部長、フーバー研究所シニア・フェロー
ジョージ・W・ダウンズ
ニューヨーク大学社会科学部

近年では、抑圧政権は、経済発展を実現しつつも、民主主義の導入を非常に長い間遅らせることに成功している。例えば、中国は、この年にわたって力強い経済成長を遂げているが、依然として政治的には抑圧体制を温存している。現実には、経済成長によって抑圧政権の寿命は短くなるどころか、むしろ長くなっている。経済成長によって得た資金をバックに、公共交通機関、保健医療サービス、初等教育などの公共財を提供することで市民の満足度を高める一方で、民主化を求める市民の連帯を育む前提である政治的権利、人権、報道の自由を厳格に管理しているからだ。いまやわれわれは、経済成長は民主化を呼び込むという理論を見直す必要があるし、国際機関の融資条件に市民間の連帯をうながす一連の権利の保障を含めるべきだろう。

人畜共通感染症の脅威
――鳥インフルエンザからBSE、エボラ出血熱まで

2005年12月号

ウイリアム・B・カレシュ 野生動物保護学会獣医学プログラム ディレクター
ロバート・A・クック 野生動物保護学会副会長

現代医学によって明らかになっている1415の感染症の60%以上が動物と人間双方への感染力を持っている。鳥インフルエンザ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、エボラ出血熱、牛海綿状脳症(BSE、いわゆる狂牛病)などを含むこれらの人畜共通感染症のほとんどは、本来動物の病気であったものが生物種の壁を越えて人間に感染するようになったものだ。また、注目される機会はより少ないが、人間に一般的に見られるヘルペス、結核、はしかは動物にも感染する。病気は生物種や学問領域の垣根を越えて発生するという真実を認識し、それに応じた対応メカニズムを構築しない限り、人類は存亡の危機に立たされることになる。

ブッシュ政権の対中、対日政策を検証する

2005年12月

エリザベス・エコノミー/米外交問題評議会シニア・フェロー

北京が鳥インフルエンザ問題をめぐって十分な情報公開をしているとは断言できない。深刻な状態にあることを公表することへのためらいがみられるし、鳥インフルエンザに関して地方から正確な情報が寄せられているかどうか、北京の指導者自身、確信がもてずにいる。中国問題の専門家エリザベス・エコノミー(CFRシニア・フェロー)は、鳥インフルエンザの情報公開であれ、知的所有権の保護であれ、中国が国際社会で責任ある国家とみなされるには、国内の統治システムを抜本的に改革し、特に、地方において優れた統治システムを確立することが不可欠だと主張し、「それには長い時間を必要とする」とコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

現在の中国を理解するには
――屈辱の歴史の重荷と共産党の変革

2005年9月号

キショール・マブバニ/リー・クアンユー行政大学院院長

北京にとって、中国の台頭は、かつては列強の草刈り場とされ、内戦に苦しんだ1世紀に及ぶ国内的変動の時代についに終止符が打たれたことを意味する。先進国が形づくる近代世界に仲間入りを果たせるいま一歩のところまでついにやってきたと彼らは感じている。一方、アメリカの政策決定者たちは、中国共産党が大きな自己変革を成し遂げていることに気づかずに、現在の中国政府は共産主義時代の名残をとどめる古い体質をもっていると否定的に考え、中国の台頭を危険視している。

Classic Selection 2005
平和的台頭への道筋

2005年9月号

鄭必堅/中国改革フォーラム理事長

中国政府は2050年までに、民主的で経済的に繁栄する文化的な社会主義国家となるための開発戦略をすでに書き上げており、この時期までに先進世界における中レベルの国家となれば、「平和的な台頭」に成功したことになる。その過程で、時代遅れの社会管理政策を変化させて、「調和的な社会主義社会」を建設することを目的にしている。中国は民主的制度と法の支配を強め、精神文明に基づく安定した社会を構築しようと試みている。

中国は安定した対米関係を望む

2005年9月号

王緝思/北京大学国際関係研究所所長

中米関係の改善は今後もゆっくりとしたペースでしか進まないだろうし、そのプロセスは苦渋に満ち、限定的で条件に縛られるだろう。台湾の独立宣言といった挑発があれば、改善の流れが覆されることもあるだろう。だからこそ、両国間に横たわる刺のある問題を慎重に扱う必要があるし、諸問題が、繁栄する社会を構築するのに適した好ましい国際環境を崩壊させるのを回避するため、安定した新枠組みを確立する必要がある。

Classic Selection 2005
CFR Interview
H・キッシンジャーが分析する中国の台頭

2005年8月号

ヘンリー・キッシンジャー
キッシンジャー・アソシエーツ会長

「私はアジアにおける新しい秩序の均衡が必要だとみているし、この均衡の一翼をアメリカが担いたいのなら、対中冷戦を再現するのではなく、協調路線をとるほうが賢明だろう。……ワシントンが中国の台頭のペースを弱めるような措置をとれば、中国人はアメリカのことを自分たちの国家目標を実現する上で最大の障害とみなすようになる。アメリカはこのようなリスクをあえて引き受けるのか。……中国はいずれアジアにおける大国になる。そして、世界政治の重心は大西洋から太平洋へとシフトしていく。これが現実だ」。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。邦訳文は英文からの抜粋、全文はwww.cfr.orgからアクセスできる。

6者協議の破綻と北朝鮮問題の行方
――流れは6者協議から2国間協議へ

2005年6月号

ダニエル・A・ピンクストン カリフォルニア州モントレー国際研究所・不拡散研究センターの東アジア不拡散担当ディレクター

北朝鮮が核兵器を保有し、仮に核実験を行ったとしても、中国は北朝鮮の体制の安定を望むだろう。中国や韓国が北朝鮮に対する圧力を強化することに合意するとはまったく思えない。北朝鮮の体制の不安定化を望んでいない以上、強硬な圧力で追い込むのは中韓の利益ではないからだ。(D・ピンクストン)

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