強大化する中国への対抗策を
2012年9月号

米中が今日まで真の和解を達成できていないのは、努力が足りなかったからではない。根本的に米中の利害認識が異なるからだ。米中が安定した行動様式を維持しようにも、イデオロギーギャップと相互不信があまりに大きすぎる。アメリカの働きかけにもかかわらず、中国は現状維持を受け入れるどころか、近隣海域の資源を手に入れようと強硬な対外路線をとっている。だが対抗バランスを形成するとしても、中国が軍事力の増強を続ける一方で、アメリカは軍事予算を削減せざるを得ない状況にある。こうして、東アジアの地域バランスは、急速に中国に有利なものへと変化しつつある。中国は「接近阻止・領域拒否(A2AD)」と呼ばれる軍事能力の整備に力を入れ、これらの兵器で西太平洋におけるすべての空軍基地と港をターゲットにし、米軍の空母を含む戦艦を威嚇することもできる。北京は地域的覇権の確立を思い描いている。