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アジアに関する論文

M・レアードが回顧するイラク戦争とベトナムの教訓(上)

2005年11月号

メルビン・R・レアード/ニクソン政権国防長官

ベトナムの屈辱とは、われわれがベトナムに介入したことではなく、最終的にわれわれが同盟勢力を裏切ってしまったことだ。パリ協定の約束に背を向けて、米議会が南ベトナムへの援助を打ち切ったために南ベトナム軍は総崩れになり、結局は崩壊した。イラク戦争にも同じことが言える。米政府と議会の連帯を維持することが、イラクでの対ゲリラ戦を遂行するうえでも非常に重要である。アメリカのイラクへのコミットメントが、将来においても尊重されるように、それが何を意味するかを現在理解しておく必要がある。イラク問題に関するアメリカ国内での論争は、議会と政府間の連帯を損ない、ゲリラ勢力に希望を与え、イラクに送り込まれているアメリカの兵士たちを危機にさらすだけだ。

ネパールの大いなる危機
――紛争のなかに取り残された民衆たち

2005年10月号

ブラッド・アダムス/ヒューマン・ライツ・ウォッチ・アジアディレクター

ネパール人の多くは、もうどうにもならないと感じている。毛沢東主義派に食料や隠れ家を提供することを拒むと「階級の敵」「反動分子」として処刑され、たとえ不本意であったとしても食料や隠れ家を提供すると今度はネパール国軍に毛沢東主義派との共謀の罪に問われる。国軍は、毛沢東主義派と、何とか生き延びようとしただけの民衆(同上)を区別できないし、区別しようとさえ試みない。いまやネパールは国家崩壊の瀬戸際まで追い込まれている。

悪の枢軸と政権交代策の限界

2005年7月号

リチャード・ハース/米外交問題評議会会長

北朝鮮やイランへの政権交代策、限定的な軍事行動、抑止策など、これらは、いずれも個別の選択肢として検討し得るものだが、これらを外交路線を支える包括的なアプローチを構成する要素として位置づけるべきだろう。外交を重視しなければならない。外交交渉なら成功の見込みがあるし、強硬策への国際的支持を取り付けたいのなら、まず外交的にすべてを試み、それがうまくいかなかったことを立証しなければならないからだ。

核拡散問題を検証する
――日韓は北朝鮮の核にどう反応するか

2005年6月号

スピーカー
ピーター・ヒューシー/米国防大学基金シニア・アソシエート
チャールズ・ファーガソン/米外交問題評議会フェロー
司会
カーラ・ロビンス/ウォールストリート・ジャーナル外交担当チーフ・コレスポンデント

アメリカが前方展開軍を維持し、核の傘を提供し続ける限り、日韓が核武装に踏み切ることはあり得ない。だが、米軍が朝鮮半島から撤退するとなれば、話は違ってくる。(P・ヒューシー)

北朝鮮が公然と核実験を行った場合、これに対して真っ先に核武装化に踏み切るのは、韓国ではなく、日本だろう。最初に倒れるドミノが日本、そして次がおそらく韓国になるだろう。(C・ファーガソン)

6者協議の破綻と北朝鮮問題の行方
――流れは6者協議から2国間協議へ

2005年6月号

ダニエル・A・ピンクストン カリフォルニア州モントレー国際研究所・不拡散研究センターの東アジア不拡散担当ディレクター

北朝鮮が核兵器を保有し、仮に核実験を行ったとしても、中国は北朝鮮の体制の安定を望むだろう。中国や韓国が北朝鮮に対する圧力を強化することに合意するとはまったく思えない。北朝鮮の体制の不安定化を望んでいない以上、強硬な圧力で追い込むのは中韓の利益ではないからだ。(D・ピンクストン)

原油価格の高騰を読み解く

2005年6月号

スピーカー
ニック・J・バトラー/BPグループ副社長(戦略政策開発担当)
デビッド・G・ビクター/スタンフォード大学環境科学・エネルギー政策センター所長
司会
ビジャイ・V・バイティースワラン/エコノミスト誌世界環境問題・エネルギー担当記者

原油価格が1バレル40ドルを超える水準にあるのはここ1年にすぎない。それまでは20ドル程度で、1990年代の平均は18・5ドル程度だった。われわれがここで突然、今後50ドルを原油価格の基準にして現在の行動や将来の投資を決めれば、石油産業の規律は大きく失われる。(N・バトラー)

現在のドル価値に換算すると、2011年の原油価格は1バレル約40ドルで取引されていると予測できる。今後も現在のような高水準の原油価格が続くと考えるのは妥当ではない。(D・ビクター)

次なる核武装化潮流

2005年3月号

ジョン・B・ウォルフスタール/カーネギー国際平和財団アソシエート

核兵器の価値を認め、核拡散を不可避とみなす宿命論が勢いを得ていけば、新たな核武装化の波が起きる。北朝鮮やイランの核開発の脅威を前に、世界は無節操な核拡散へ向かいかねない危険な状態にある。この潮流を押し返せるとすれば、核の平和利用という名目の下に何が許されるのかを再定義することに各国が前向きになり、すべての国が合意するコンセンサスをとりまとめられた場合だけだろう。

北朝鮮、イランへの政権交代策を

2005年2月号

マックス・ブート/米外交問題評議会シニア・フェロー

武装ゲリラ勢力に対抗し、彼らを粉砕する力を持つイラク政府を誕生させることを最重要課題とみるマックス・ブート(米外交問題評議会シニア・フェロー)は、イラク治安部隊の整備と強化を最優先に取り組む必要があると指摘し、仮に治安部隊の整備がうまくいかない場合には、米軍の規模を倍増させるか、あるいは、大幅に削減させることを提言している。 聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

台頭する中国と米・東アジア関係

2005年2月号

スピーカー
エリック・ヘジンボサム/米外交問題評議会シニア・フェロー
エドワード・リンカーン/米外交問題評議会シニア・フェロー
アダム・シーガル/米外交問題評議会シニア・フェロー
司会
ナンシー・ローマン/米外交問題評議会シニア・フェロー

北朝鮮の問題同様に深刻なのが、アメリカと韓国の関係だ。「アメリカの政府官僚、アジア地域専門家は、日本のことはグローバルなパートナーとみなしても、韓国をそのようにはみなくなるかもしれない。米韓関係が深刻な問題を抱え込むことになるかもしれない。いまのところ、地政学のバランスに配慮した平衡感覚が働いているが、アメリカが韓国から全面撤退してもおかしくないとみられるような言動をみせるようになれば、朝鮮半島をめぐって、韓国ではなく、中国がもっと大きな課題として浮上してくる」

邦訳文は二期目のブッシュ政権とアジアをテーマに行われた米外交問題評議会のワシントン・プログラムからの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

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