国家通貨時代の終わり
――ドル、ユーロ、アジア共通通貨の時代へ
2007年7月号

この数十年間で、金融危機が非常に深刻な事態を伴うようになったのはなぜだろうか。途上国の通貨価値が下落しそうになると、対外債務の返済が困難になることを見越して、内外の現地通貨の保有者はこれを手放して出口へと殺到し、これが通貨危機を誘発する。だが、そうした危機に陥った通貨が「必要とされない通貨」であることに目を向ける必要がある。安全にグローバル化を進めていくには、各国政府は通貨ナショナリズムを捨て去り、市場の不安定化を引き起こす「必要とされない通貨」をなくしていく必要がある。一般に各国政府は自国通貨をドルやユーロに置き換えるべきだし、アジア諸国の場合は、広大な範囲におよぶ多様な経済発展レベルの地域を包み込めるような、単一の多国間通貨を創造するために協力していくべきだろう。