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2025.6.13 Fri

人口減少と社会
―― 未来をどう捉えるか

迫り来る人口減少時代への流れを作り出している大きなトレンドは、世界的に子どもをもつことを望む欲求が低下していることによって作り出されている。出生率が急激に低下し、ますます多くの社会が、いつまで続くかわからない、広範な人口減少の時代へ向かっている。(エバースタット)

ゼロ成長やマイナス成長の社会ではいかなる資本主義システムも機能しない。その具体例が、高齢化し、人口が減少している日本だ。人口の成長がゼロかマイナスの世界では、おそらく経済成長もゼロかマイナスになる。(カラベル)

国連の最新統計では、アフリカの人口は、死亡率の低下と出生率の上昇を背景に、現在の14億から2050年には25億に増加すると予測されている。中国、日本、韓国、ヨーロッパで若年労働力が激減していくなか、今後、グローバル経済の未来を左右するのは、豊かな労働力をもつアフリカ大陸になるだろう。(ゴールドストーン、メイ)

高齢化と人口減少の時代
―― 人口減少と人類社会

2024年12月号 ニコラス・エバースタット アメリカン・エンタープライズ研究所 ヘンリー・ウェント政治経済チェア

「人々が何を好ましいと考えるかが、ほぼすべての大陸で急速に一体化しつつある」。迫り来る人口減少時代への流れを作り出している大きなトレンドは、世界的に子どもをもつことを望む欲求が低下していることによって作り出されている。出生率が急激に低下し、ますます多くの社会が、いつまで続くかわからない、広範な人口減少の時代へ向かっている。結婚を奨励し、子育てを祝福する宗教的信仰も、出生率の低下が進む多くの地域で衰退しつつある。その先にあるのは、高齢化し、より小さくなった社会で構成される世界になるだろう。人口減少は、おそらく、社会がまだ考えもせず、いまは理解できないような多くの方法で、人類を大きく変貌させていくだろう。

人口減少と資本主義の終焉
―― われわれの未来をどうとらえるか

2019年10月号 ザチャリー・カラベル 作家、コラムニスト、投資家

ゼロ成長やマイナス成長の社会ではいかなる資本主義システムも機能しない。その具体例が、高齢化し、人口が減少している日本だ。人口の成長がゼロかマイナスの世界では、おそらく経済成長もゼロかマイナスになる。人口規模の小さな高齢社会では消費レベルも低下するからだ。既存の金融・経済システムが覆されることを別にすれば、これに関して、本質的な問題はない。今後、人口比でみれば、十分な食糧が供給され、潤沢に商品が出回るようになるかもしれない。気候変動への余波も緩和されるだろう。だが、資本主義はうまくいってもぼろぼろになり、悪くすると、完全に破綻するかもしれない。今後、世界の人口が減少してゆけば、経済成長は起きるだろうか。この設問にどう応えるかの準備ができていないだけでなく、どう答えるかさえ考え始めていない。これが世界の現実だ。

アフリカ経済に注目せよ
―― アフリカが左右するグローバル経済の未来

2023年7月号 ジャック・A・ゴールドストーン ジョージ・メイソン大学 教授(公共政策) ジョン・F・メイ ジョージ・メイソン大学 リサーチプロフェッサー(公共政策)

今後20年間で、世界の大半の諸国は、若年人口や労働力の減少に直面するだけでなく、爆発的に増加する高齢者の介護を余儀なくされる。この近未来において、中国経済がこの40年にわたって世界経済で果たしてきた役割を今後担っていくのはどの国や地域なのか。意外にも、それがインドになる可能性は低い。世界が目を向けるべきは、むしろ、アフリカ大陸だ。国連の最新統計では、アフリカの人口は、死亡率の低下と出生率の上昇を背景に、現在の14億から2050年には25億に増加すると予測されている。中国、日本、韓国、ヨーロッパで若年労働力が激減していくなか、今後、グローバル経済の未来を左右するのは、豊かな労働力をもつアフリカ大陸になるだろう。

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2025年6月号(2025年6月10日発売)

Contents

  • 新勢力圏の形成へ
    大国間競争から大国間共謀へ

    ステイシー・E・ゴダード

  • アメリカなき世界システム
    新しい国際統治の形

    ヌゲール・ウッズ

  • エネルギー転換の幻
    現状認識と現実的アプローチ

    ダニエル・ヤーギン、ピーター・オルザグ、アタル・アルヤ

  • トランプの強硬路線とアジア
    アジアを強制するか、見捨てるか

    リン・クオック

  • ミャンマーを操る中国の二重戦略
    地域覇権を狙う北京の分断戦略

    イェ・ミョー・ヘイン

  • プーチンのロシアと欧米
    永遠の戦争メカニズムを断ち切るには

    アレクサンダー・ガブエフ

  • イエメン危機の国際的衝撃
    米軍の空爆停止の意味合い

    エイプリル・ロングリー・アレイ

  • ボスニアの不安定化と欧州
    徘徊しだしたセルビアナショナリズム

    イスメット・ファティフ・カンカール

他全8本掲載

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