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2025.9.2 Tue
<9月号プレビュー>
習近平後の中国
―― 大いなる不確実性の始まり
指導者が最終的に権力を手放す前から、後継問題が政治的選択を形作る。習近平の後継指導への権力継承は、毛沢東のそれほど破滅的なものにはならないかもしれないが、それでも、権力移譲の準備、実施、余波が、今後数年間の中国の外交と国内政策を規定することになるはずだ。(ジョスト、マッティングリー)
軍高官の粛清は一部の近代化プログラムを遅らせ、指揮統制と意思決定を混乱させ、士気を低下させる可能性が高く、軍の短・中期的戦闘能力を低下させることになるだろう。だが、中国の過去の軍事作戦が、適切な条件が整うのを待って実施されたことなどほとんどないことも認識すべきだ。(フラベル)
「重要な決定はみな私が承諾しなければならなかった。私はあまりに独りで重責を担いすぎた。これは、共産党にとっても、国にとってもよいことではない。私は、引退を考えるべきだ。しかし、いまこの瞬間に身を引くことはできない。目の前にある問題を放置したままで、どうして引退などできようか」(戒厳令直前の鄧小平の言葉)(パイ)
中国の後継問題と政治的混乱
―― 大いなる不確実性の始まり
2025年9月号 テイラー・ジョスト ブラウン大学ワトソンスクール アシスタント・プロフェッサー ダニエル・C・マッティングリー イエール大学准教授(政治学)

習近平の退任まで、あと数年、あるいは10年以上の時間が残されているのかもしれない。だが現実には、指導者が最終的に権力を手放す前から、後継問題が政治的選択を形作る。習近平の後継指導への権力継承は、毛沢東のそれほど破滅的なものにはならないかもしれないが、それでも、権力移譲の準備、実施、余波が、今後数年間の中国の外交と国内政策を規定することになるはずだ。権力継承を巡る争いが、歴史的に北京を破滅的な外交的選択に向かわせてきたことを認識する必要がある。習近平のような強権者が去った後の権力の空白は、権力争いや国の方向性をめぐる対立を引き起こす危険がある。
中国軍粛正の意味合い
―― 習近平と台湾海峡リスク
2025年9月号 M・テイラー・フラベル マサチューセッツ工科大学 政治学教授

2023年秋以降、中国軍を指導する共産党の最高機関・中央軍事委員会の制服組委員6人のうち3人が解任されている。中国で進行中の粛清について、外部の専門家が詳細な情報を集めて分析するのは非常に難しい。だが、こうした軍高官の粛清は一部の近代化プログラムを遅らせ、指揮統制と意思決定を混乱させ、士気を低下させる可能性が高く、軍の短・中期的戦闘能力を低下させることになるだろう。だが、中国の過去の軍事作戦が、適切な条件が整うのを待って実施されたことなどほとんどないことも認識すべきだ。朝鮮戦争への介入、中印戦争、中越戦争は、軍事的にも政治的にも問題のあるタイミングで実施されている。台湾に対する危険を楽観してはならない。
天安門ペーパー再考
2001年6月号 ルシアン・W・パイ マサチューセッツ工科大学名誉教授

「重要な決定はみな私が承諾しなければならなかった。私はあまりに独りで重責を担いすぎた。これは、共産党にとっても、国にとってもよいことではない。私は、引退を考えるべきだ。しかし、いまこの瞬間に身を引くことはできない。目の前にある問題を放置したままで、どうして引退などできようか」(戒厳令直前の鄧小平の言葉)