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2026.5.5 Tue
イラン戦争とアラブ世界
―― アメリカ、サウジ、UAE
アメリカとイスラエルが、イラン戦争を始めた結果、湾岸諸国は大きな被害を受け、一部の指導者はアメリカの金融機関からの資金引き揚げを検討している。いまやアラブ世界では、中ロの方が、欧米よりも道徳的優位をもつと考えられている。アメリカは、正統性を喪失している。(ジャマル、ロビンス)
サウジアラビアは、イランであれ、イスラエルであれ、地域覇権国が出現することは望んでいない。一方で、アメリカの安全保障関与はもはや信用していない。引き続きアメリカに一定の支援を求めつつも、サウジは、今後、エジプト、パキスタン、トルコとの地域的連帯を深化させ、中国への依存度を高めていくと考えられる。(ファンタッピー、ナスル)
2025年後半、サウジアラビアとUAEはイエメンをめぐって対立して、その後、イスラエルのソマリランド承認をめぐっても、イラン戦争の外交路線をめぐっても確執を抱え込んだ。かねてOPEC離脱を検討していたUAEは、サウジとの二国間関係の悪化が、カルテルから離脱する機会を作り出していると地政学的に判断した。(クック)
米国に背を向けたアラブ諸国
―― 中ロと欧米の逆転
2026年6月号 アマネイ・A・ジャマル アラブ・バロメーター 共同創設者 マイケル・ロビンス アラブ・バロメーター ディレクター
アラブ諸国政府はすでにアメリカとの関係を遮断し始めるか、ワシントンとの取引の一部を国内社会に伝えず、隠すようになった。イランでの戦争に先だって、湾岸諸国の指導者たちは、ワシントンにさらなる攻撃をしないように警告したが、ワシントンは相手にしなかった。アメリカとイスラエルが、イラン戦争を始めた結果、湾岸諸国は大きな被害を受け、一部の指導者はアメリカの金融機関からの資金引き揚げを検討している。いまやアラブ世界では、中ロの方が、欧米よりも道徳的優位をもつと考えられている。アメリカは、正統性を喪失している。
イラン戦争とサウジ
―― アメリカ後の中東と新多国間枠組み
2026年6月号 マリア・ファンタッピー イタリア国際問題研究所 地中海・中東・アフリカ・プログラム責任者 バリ・ナスル ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院 教授(国際関係、中東研究)
サウジアラビアは、イランであれ、イスラエルであれ、地域覇権国が出現することは望んでいない。一方で、アメリカの安全保障関与はもはや信用していない。引き続きアメリカに一定の支援を求めつつも、サウジは、今後、エジプト、パキスタン、トルコとの地域的連帯を深化させ、中国への依存度を高めていくと考えられる。ペルシャ湾の安全をめぐるイランとの合意も模索するだろう。自国の路線に、対イラン強硬派のアラブ首長国連邦やバーレーンを含む、湾岸協力会議(GCC)メンバーの立場を集約できれば、サウジは、イラン戦争後に、地域および世界的な影響力の低下に直面するのではなく、むしろ、それを拡大させるチャンスを手にできるかもしれない。
UAEがOPECから離脱した理由
―― サウジとの対立が作り出した機会
2026年6月号 スティーブン・A・クック 米外交問題評議会(CFR) シニアフェロー(中東・アフリカ研究担当)
アラブ首長国連邦(UAE)のリーダーたちは、サウジアラビアが大きな影響力をもつ石油輸出国機構(OPEC)の意思決定は、アブダビの経済的利益とは合致しないと考えてきた。しかも、UAEとサウジの関係は冷え込んでいた。2025年後半、サウジアラビアとUAEはイエメンをめぐって対立して、その後、イスラエルのソマリランド承認をめぐっても、イラン戦争の外交路線をめぐっても確執を抱え込んだ。かねてOPEC離脱を検討していたUAEは、サウジとの二国間関係の悪化が、カルテルから離脱する機会を作り出していると地政学的に判断した。


