2026.1.9 Fri
<1月号プレビュー>
トランプと欧州右派の連携、兵器化されたエネルギー資源、飢餓と先進国の政治
トランプ政権がヨーロッパの極右勢力を評価して連携したことは、危険な賭けだ。政治的分極化を煽ることは、トランプに同調するヨーロッパではなく、分断されたヨーロッパを生み出す危険がある。(クラステフ)
ワシントンは、ロシアやイランの石油を購入する国々に厳しい制裁措置を検討し、北京は、半導体、軍事アプリ、電池、再生可能エネルギーに不可欠な重要鉱物やレアアースの輸出を定期的に制限している。いまや、世界市場そのものが分断され、エネルギーが新たに兵器化されている。(ボルドフ、オサリバン)
飢餓で避難を余儀なくされた家族を難民として国内に受け入れるよりも、彼らが暮らす場所で支援を提供する方が、はるかに合理的だ。大規模な難民流入が現実になれば、国内が不安定化し、政治的分断と過激主義も助長される。(フセイン)
トランプと欧州右派の連携
―― アメリカはヨーロッパを失う?
2026年1月号 アイバン・クラステフ 自由主義戦略センター 会長
トランプ政権がヨーロッパの極右勢力を評価して連携したことは、危険な賭けだ。政治的分極化を煽ることは、トランプに同調するヨーロッパではなく、分断されたヨーロッパを生み出す危険がある。さらに、(右派の)政党や指導者だけを支援することで、ヨーロッパの重要地域で伝統的にワシントンを支持してきた親米派を失いつつあるかもしれない。結局のところ、トランプの欧州右派に対するアプローチがヨーロッパに与える影響は、多くの点で1980年代にミハイル・ゴルバチョフが東欧諸国に与えた影響に似たものになるだろう。ゴルビー・マニアは東欧の共産主義体制を劇的に変容させ、その過程でモスクワは勢力圏を失うことになった。
兵器化されたエネルギー資源
―― 復活した戦略ツールの脅威
2026年1月号 ジェイソン・ボルドフ コロンビア大学国際公共政策大学院 コロンビア・クライメートスクール学院長 ミーガン・L・オサリバン ハーバード大学ケネディスクール 教授(国際関係)
ワシントンは、ロシアやイランの石油を購入する国々に厳しい制裁措置を検討し、北京は、半導体、軍事アプリ、電池、再生可能エネルギーに不可欠な重要鉱物やレアアースの輸出を定期的に制限している。いまや、世界市場そのものが分断され、エネルギーが新たに兵器化されている。各国は、エネルギーの兵器化が間違いなく引き起こす変動から市民と企業を守る方法を見いだす必要がある。リスクを減らすには、生産量を増やすだけでなく、消費量を減らし、クリーンエネルギー投資を増やさなければならない。実際、気候変動の脅威そのものよりも、エネルギー安全保障強化の必要性が、クリーンエネルギーの導入と化石燃料の使用削減の強力なインセンティブを作り出すことになるかもしれない。
飢餓と先進国の政治
―― 食糧危機が先進国を政治的に脅かす
2026年1月号 アリフ・フセイン 国連世界食糧計画(WFP) チーフエコノミスト
豊かな時代にあっても、紛争、気候変動、経済危機によって、食糧にアクセスできない人々が急増している。ガザやスーダンだけではない。世界で食糧危機に苦しむ人口は数億規模に達する。一方、主要ドナー国は支援を大幅に削減し、国連世界食糧計画などによる配給も減少している。飢餓で避難を余儀なくされた家族を難民として国内に受け入れるよりも、彼らが暮らす場所で支援を提供する方が、はるかに合理的だ。大規模な難民流入が現実になれば、国内が不安定化し、政治的分断と過激主義も助長される。支援から遠ざかるドナー諸国は「特定地域での食糧危機は、別の地域の不安定化を引き起こす」という動かしがたい事実を無視している。


