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ブレグジット後のヨーロッパ
―― 経済より政治統合を優先させよ

マティアス・マティス ジョンズホプキンス大学 高等国際関係大学院(SAIS) 准教授(国際政治経済学)

The Right Way to Fix the EU Put Politics Before Economy

Matthias Matthijs ジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)准教授(国際政治経済学)。米外交問題評議会(CFR)シニアフェロー(欧州問題担当)。フォーリン・アフェアーズでは、「欧州連合を崩壊から救うには―― 緊縮財政から欧州版三本の矢へ」(2015年3月号)などを発表している。

2020年7月号掲載論文

市場統合は英仏が、ユーロは仏独が主導した。欧州連合(EU)の東方拡大を支持したのはイギリスとドイツだった。イタリアのエリート層は、これら三つのプロジェクトすべてに進んで同調した。しかしいまや、こうしたコンセンサスはほとんどない。EUが現在の病を克服するには、加盟国首脳が幅広い政治原則や経済原則で妥協する必要があるが、東欧や南欧の反対の高まりを考えると、現状を維持したいドイツの願いを叶えるのは難しいだろう。したがって、イタリアが望む「加盟国により大きな柔軟性を認める路線」とフランスが求める「EUの連帯強化路線」との間で均衡点をみつける妥協が必要になる。これが実現すれば、ドルのパワーに対抗していくユーロのポテンシャルを開花させていくことも、エアバス社などの優れた欧州企業をさらにパワフルな企業に育てていくことも夢ではなくなる。・・・

  • ブレグジット後のEU
  • 市場統合と単一通貨への道
  • 三つの危機
  • 新しいコンセンサス
  • グローバルパワーへの道
  • ドイツの変貌を

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