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米・イラク関係の終焉?
―― ドローン攻撃のもう一人の犠牲者

エマ・スカイ イェール大学 ワールドフェロープログラム、ディレクター

The Death of the U.S.-Iraqi Relations Soleimani Wasn’t the Only Casualty of the U.S. Strike in Baghdad

Emma Sky イギリスの中東専門家で、現在は、イェール大学ワールドフェロープログラム・ディレクター。同大学グローバルアフェア―研究所シニアフェロー-。レイモンド・オディエルノ・イラク駐留米軍司令官の政治アドバイザーなどを務めた。フォーリン・アフェアーズでは「イスラム国後のイラクと中東―― イラク国家の再建で中東秩序の再建を」(2017年12月号)を発表している。

2020年2月号掲載論文

シーア派のマリキ首相のあからさまな宗派政治がスンニ派の不満といらだちを高め、イスラム国がイラクで支持される政治・社会環境を作り出した。そのイスラム国掃討のために、イラクで米軍とともに闘った(シーア派の)カタイブ・ヒズボラが米大使館を襲撃したことで、今回のソレイマニ殺害への流れが作り出された。しかし、イラン革命防衛隊の司令官を殺害した米軍のドローン攻撃には別の犠牲者がいたのかもしれない。「米イラク関係」だ。アメリカとイランの双方と同盟関係にあるイラクは、いまやこの二つの国家による戦いの最前線に組み込まれてしまった。アメリカは、イランが支援するイラクのシーア派武装集団の脅威の高まりを警戒し、すでにバスラの領事館を閉鎖している。ここで、バグダッドの大使館を閉鎖すれば、多大なる血と財産を注ぎ込んできたイラクとの関係を不幸にも終わらせることになる。

  • マリキとイスラム国の台頭
  • イランとカタイブ・ヒズボラ
  • 「アメリカに死を」

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