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2025.8.12 Tue
トランプは皇帝なのか
―― 抑制と均衡の再確立を
米同時多発テロ以降、米議会は外交領域における大統領権限の拡大を認め、それを取り戻そうとしなかった。最高裁も、有意義な抑制を大統領に課すことに乗り気ではなかった。こうして、トランプは、外交政策や国家安全保障にわずかにでも関連する案件なら、ほぼ思うままにできるようになった。(サンダース)
アメリカの司法省、連邦捜査局、内国歳入庁(IRS)などの主要政府機関や規制当局をトランプの忠誠派が率いるようになれば、政府はこれらの政府組織を政治的な兵器として利用できるようになる。ライバルを捜査と起訴の対象にし、市民社会を取り込み、同盟勢力を訴追から守れるからだ。(レヴィツキー、ウェイ)
権力者個人に権力を集中させる政治システムは、冷戦終結以降、顕著に増加しており、この現象は大きな危険をはらんでいる。世界が不安定化するなかで、多くの人が、強権者の方が激しい変動と極度の混乱に対するより優れた選択肢をもっていると考えるようになれば、民主主義の基層的価値に対する反動が起きかねないからだ。(ケンドール=テイラー、フランツ、ライト)
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トランプは皇帝なのか
―― 独裁を阻む抑制と均衡の再確立を2025年8月号 エリザベス・N・サンダース コロンビア大学 政治学教授
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トランプと競争的権威主義の台頭
―― 米民主主義は崩壊するのか2025年4月号 スティーブン・レヴィツキー ハーバード大学 政治学教授 ルーカン・A・ウェイ トロント大学 政治学部特別教授
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新しい独裁者たち
―― なぜ個人独裁国家が増えているのか2016年11月号 アンドレア・ケンドール=テイラー 米国家情報会議・副国家情報官 (ロシア・ユーラシア担当) エリカ・フランツ ミシガン州立大学助教授(政治学) ジョセフ・ライト ペンシルベニア州立大学准教授(政治学)