
2025.5.9 Fri
<5月号プレビュー>
捕獲された国家の経済的末路
―― 拡散するマフィア国家
実業家の大統領が富豪と組んで連邦政府の管理権を乗っ取るという事態は、アメリカ近代史ではかつてない展開だ。だが、世界的にみれば、バングラデシュ、ハンガリー、南アフリカなど、政治家、ビジネスエリートの小集団が自己利益のために国と経済をねじ曲げてきたケースは数多くある。(デイビッド=バレット)
アメリカの司法省、連邦捜査局、内国歳入庁(IRS)などの主要政府機関や規制当局をトランプの忠誠派が率いるようになれば、政府はこれらの政府組織を政治的な兵器として利用できるようになる。ライバルを捜査と起訴の対象にし、市民社会を取り込み、同盟勢力を訴追から守れるからだ。(レヴィツキー、ウェイ)
民主主義システムは、政府が公益に供する活動をすることを保証する手段として作られたが、システムが腐敗してしまった民主国家にそれを覆す力が残されているだろうか。・・・いまや「合法的」と「汚職ではない」の意味を混同しているアメリカの政府高官と、有権者の意識との間にはズレが生じている。・・・(チェイズ)