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2025.5.27 Tue
エネルギー転換の迷走
―― 現状をどう捉えるか
再生可能エネルギーによる電力生産は増えているが、化石燃料による電力生産も史上最高レベルに達している。しかも、世界人口の8割が暮らすグローバル・サウスでは、「脱炭素化」の前にまず「炭素化」が進むと考えられる。つまり、現在進行しているのは、「エネルギー転換」というよりも、むしろ「エネルギーの追加」に他ならない。(ヤーギン他)
ポピュリストの指導者たちは、とにかく地球温暖化対策を目の敵にし、将来の利益よりも現在の満足を優先する人間の本質を利用して、政治的に成功を収めている。米民主党議員の59%が気候変動問題への対応を最優先課題にすべきだと考えているのに対し、共和党議員でそう考えているのは12%にすぎない。(カンパネッラ、ローレンス)
再生可能エネルギーへのシフトには、リチウム、コバルト、ニッケル、銅などの重要鉱物を確保することが不可欠だ。しかし、重要鉱物の生産はほんの一握りの国に集中している。インドネシアが世界のニッケルの30パーセントを、コンゴ民主共和国が世界のコバルトの70パーセントを生産している。(バジリアン、ブリュー)
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エネルギー転換の幻
―― 現状認識と現実的アプローチ2025年6月号 ダニエル・ヤーギン S&Pグローバル副会長 ピーター・オルザグ ラザード社CEO兼会長 アタル・アルヤ S&Pグローバル チーフエネルギーストラテジスト
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気候変動とポピュリスト
―― 温暖化対策と文化戦争2024年9月号 エドアルド・カンパネッラ ハーバード大学ケネディスクール リサーチフェロー ロバート・Z・ローレンス ハーバード大学ケネディスクール 教授(国際貿易、投資)
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重要鉱物とサプライチェーン
―― クリーンエネルギーと大国間競争2023年2月号 モーガン・D・バジリアン コロラド鉱山大学教授(公共政策) グレゴリー・ブリュー イェール大学ジャクソン・スクール 博士研究員