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2023.3.4 Sat

ロシアはいかに制裁を凌いでいるか
―― 中国、ロシア、インド

欧米の対ロシア制裁は、金融からエネルギー、軍事技術までをカバーする広範な部門をターゲットにしている。しかし、中国やインドはロシアの石油や天然ガスの輸入を逆に増やし、ロシアの近隣諸国の一部は、中継貿易国の役割を果たし、欧米の製品を輸入してはロシアに再輸出している。石油、肥料、小麦、貴金属など多くの重要なコモディティの輸出国として極めて重要なロシアは、制裁を課すには難しいターゲットだと指摘するアナリストもいる。(バーマン、シリプラプ)

ロシアを孤立させるための経済制裁は、必要以上に大きなコストをヨーロッパだけでなく、アジアの同盟国にも強いることになる。そうした対ロシア関係のバランスの崩壊にもっとも苦しんでいるのが日本だ。ワシントンは、ウクライナ危機をきっかけにロシアと中国が関係を深めていくことを懸念している。しかし、そのような事態を避けたいのなら、インド、日本、ベトナムなどの中国を潜在的敵対国とみなしている諸国が、ロシアと良好な関係を育んでいけるように配慮すべきだ。(ラトナー、ローゼンバーグ)

ウクライナ戦争をめぐってインドは中立の立場をとり、ロシアを非難するのを控えているが、米政府高官たちはインドの行動を看過できぬとまではみていない。インドがロシアの軍事ハードウエアに依存していること、それを一夜にして解消できないことを理解しているからだ。しかし、ロシアが残虐行為を繰り返すなか、インドがロシアの原油や天然ガスを大量に購入し続ければ、ワシントンはニューデリーがロシアの戦争継続を可能にしているとみなし始めるだろう。(カーティス)

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