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2021.5.5. Wed

危機とグローバル化の歴史
―― グローバル化が復活する理由

「大恐慌後、世界はブロック経済化し、ナショナリズム、権威主義、ゼロサム思考が台頭し、最終的には世界大戦が引き起こされた」。この流れはグローバル化からの逆コースの結末、憂鬱なエピソードとして示されることが多い。だが歴史は、多くの危機が、グローバル化を損なうのではなく、最終的には強化してきたことを教えている。歴史的な断裂が生じても、それは、新たにグローバルなリンクを作り出し、それを増幅していく。COVID19も例外ではない。パンデミック後にグローバル化は勢いよく復活するだろう。(ジェームズ)

デジタルネットワーク、金融フロー、サプライチェーンが世界中に拡大し、アメリカを中心とする各国は、これを、他国を捕獲する蜘蛛の巣とみなすようになった。米財務省は国際金融ネットワークを利用して、無法な国家と金融機関に制裁を課している。一方、ファーウェイが5Gをグローバルレベルで支配すれば、北京もファーウェイをゲートウェイにして世界の通信に侵入し、これまでアメリカが中国に対して試みてきたことを、アメリカに対して実施できるようになる。鎖につながれたグローバル化の現実を受け入れ、理解することが、これらのリスクを抑えるために必要不可欠な最初のステップになる。(ファレル 、ニューマン)

グローバル市場は素晴らしい恩恵を数多くもたらしてくれるが、一方で、貿易の恩恵をあらゆる市民が感じられるようにするパワフルな国内政策が必要だ。そうした政策なしでは、経済的な不満が高まり、現状を説明する安易なロジックと間違った政策を売り込むデマゴークの政治家が台頭する。格差を縮小し、労働者を助けたいと考えるのなら、保護主義と外国人排斥が自らの大義を後退させることを認識すべきだろう。中間層の再構築に焦点を合わせる革新主義の政治家は、労働者の必要性を満たすための国内政策を重視する一方で、貿易合意を改善し、移民の受け入れを拡大しなければならない。(クラウジング)

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