Focal Points

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2021.1.12. Tue

アメリカ社会の分裂と解体
―― 唐突な国家破綻を回避するには

白人警察官がアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドを(首を足で押さえつけて)残酷に殺害した事件は、大規模な抗議行動を誘発した。かつて白人至上主義者を「とてもよい人々=very fine people」と呼んだ指導者が、この危機に米大統領として建設的な発言ができるはずはなかった。トランプが選挙に敗れ、素直にホワイトハウスを去ったとしても、新政権が、トランプをかつてホワイトハウスに送り込んだアメリカ社会の構造的問題に取り組まない限り、うまく修正できないダメージに直面する。(アセモグル)

トランプのアメリカがファシズムに陥っていくと考えるのは行き過ぎだが、彼が大統領になったことで、この国が「競争的権威主義」、つまり、有意義な民主的制度は存在するが、政府が反対派の不利になるように国家権力を乱用する政治システムへ変化していく恐れがある。政府機関を政治化すれば、大統領は調査、告訴、刑事責任の対象から逃れられるようになる。政党間の分裂が激しければ、議会の監視委員会が、行政府に対して超党派の集団的な立場をまとめるのも難しい。しかも、政党だけでなく、アメリカの社会、そしてメディアさえもが分裂している。現在の環境では、仮に深刻な権力乱用が暴かれても、それを深刻に受け止めるのは民主党支持者だけで、トランプの支持者たちはこれを党派的攻撃として相手にしないだろう。・・・(ミッキー、レヴィツキー、ウェイ)

ファシストが台頭した環境は現在のそれと酷似している。19世紀末から20世紀初頭のグローバル化の時代に、資本主義は西洋社会を劇的に変貌させた。伝統的なコミュニティ、職業、そして文化規範が破壊され、大規模な移住と移民の流れが生じた。現在同様に当時も、こうした変化を前に人々は不安と怒りを感じていた。だが、第一次世界大戦、大恐慌という大きなショックを経験したことを別にしても、根本的な問題は、当時の民主主義が、戦間期の社会が直面していた危機にうまく対処できなかったことだ。要するに、革命運動が脅威になるのは、民主主義が、直面する課題に対処できずに、革命運動がつけ込めるような危機を作り出した場合だ。ポピュリズムの台頭は、民主主義が問題に直面していることを示す現象にすぎない。(バーマン)

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