Focal Points

2020.5.7 Thu

<5月号プレビュー>パンデミックは歴史の転換点ではない 、財政支出でコロナ恐慌を抑え込めるか、デジタル権威主義と民主的サーベイランス

アメリカのリーダーシップの衰退、形骸化するグローバルレベルでの協調、対決的な大国間関係など、COVID19 が出現する前から存在する国際環境の特質は、パンデミックによって緩和されるどころか、先鋭化し、これらは今後の世界におけるより顕著な特質になっていくだろう。現状そして今後にとって、関連性の高い歴史的先例は、戦後に国際協調が進められた第二次世界大戦後ではなく、国際的な混乱が高まりつつも、アメリカが国際的な関与を控えた第一次世界大戦後の時代かもしれない。(ハース)

各国は、あたかも2020年夏まで経済生産がゼロの状態が続くかのような財政支出を約束している。ニューディールを含めて、このレベルの政府支出には歴史的先例がない。つまり、これは「ハイパーケインズ主義」の実験のようなものだ。このような試みがアメリカ経済、ヨーロッパ経済、世界経済を救えるかどうかは誰にもわからない。希望をもてるとすれば、パンデミック前の段階で対GDP比債務がすでに230%近くに達していたにもかかわらず、日本の金利とインフレ率が引き続き安定していたことだ。(カラベル)

ウイルスの拡散を封じ込めようと奮闘するなか、欧米のリベラルな民主国家は、アウトブレイクを制限するための中国のやり方に注目し、権威主義的な手法の一部を採用すべきかどうかを考えている。パンデミックとの闘いにおいて強固なサーベイランス体制が不可欠であることを東アジア諸国はすでに立証しているのは事実だ。一方で、欧米の民主国家は、自国の市民を守るための「民主的サーベイランス」を確立しなければならない。今後数年間で、疫学とテクノロジー部門での世界的な混乱が重なり合い、グローバルな歴史が形作られることになるだろう。(ライト)

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