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2020.2.13 Thu

コロナウイルスと中国のハイテク企業
―― 感染拡大とビッグデータの必要性

チャイナ・モバイル、チャイナテレコム、チャイナ・ユニコム、ファーウェイはすべて5Gの機器とサービスを武漢に新設された火神山医院に提供している。しかし、そうした努力の目的は、おもに政府の対応を助け、「自分たちが大衆の反動の標的とされるのを避けること」にある。ウォールストリート・ジャーナルが伝えたように、北京は、すでにそのサーベイランス(監視)能力と、航空会社、電話会社、公共交通システムを含む国有企業のデータを利用して、ウイルスの動きを追い、感染者を隔離している。感染症対策が作り出す流れのなかで、中国のテクノロジー企業と国家・政府との関係はさらに緊密なものになっていくと考えられる。(ダドリー、シーガル)

ウイルスが人類社会に与える衝撃の規模は、その感染力がどの程度で、感染した人の致死率がどの程度になるかに左右されるが、これらを的確に判断できる状況にはない。これまでのところ、中国の管理措置ではウイルスを抑え込めていないようだし、ウイルスはいずれ変異し、致死率と拡散能力を変化させていく。各国政府は、新型ウイルスを封じ込められず、深刻で致死性の高い感染症として世界で猛威を振るうかもしれないリスクを認識し、最悪の事態に備えた行動をとる必要がある。(イングルスビー)

いまや、H5N1ウイルスが、遺伝子の再集合プロセスを経ずに独自に変異を繰り返すことで、人から人への感染力を持つようになる可能性も浮上してきている。いつ次なるパンデミックが起き、それがどれほど重大な事態を引き起こすかを予見するのは不可能だが、それは間違いなく起きるし、緊密な相互依存を特徴とするグローバル経済のなかでパンデミックが起きれば、相互依存関係は引き裂かれ、これまでのパンデミック以上の甚大な被害を引き起こすことになる。これまで大規模な人への感染が起きていないとしても、このままパンデミックへの備えが進まなければ、最終的に世界は最悪の事態に直面することになる。(オスタホルム)

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