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2018.8.13 Mon

欧米の衰退とデジタル権威主義の台頭

世界はいまや大きな転換点に近づきつつある。今後5年以内に世界の所得に占める中国、ロシア、サウジアラビアなど「自由ではない」と分類される諸国の割合は、欧米のリベラルな民主国家のそれを上回るようになるだろう。逆に言えば、四半世紀の間に、リベラルな民主国家は先例のない経済的強さから、同様に先例のない弱体化の道を歩みつつある。伝統的にリベラルな民主主義の中枢を担ってきた北米と西ヨーロッパ諸国では政治システムが危機にさらされ、世界経済に占めるウェイトも低下しており、かつての優位を取り戻せる見込みはますます遠のいている。(モンク、フォア)

確かに、複数政党制による選挙を導入することはなく、人権の保障を制度化することも、言論の自由を認めることもなかった。それでも、中国共産党は水面下の改革を実行し、一党支配を放棄することなく、巨大な官僚組織を改革し、民主化の特質の多く、特に説明責任、競争原理、権力の一部抑制を導入してきた。このような改革は無機的で非政治的なものに思えるかもしれないが、実際には「民主主義的特質を持つ独裁体制」というユニークなハイブリッドを生み出してきた。(アン)

人工知能を利用すれば、市場動向を細かに予測することで計画経済をこれまでになく洗練されたものにできる。一方で、すでに中国は、サーベイランスと機械学習ツールを利用した「社会信用システム」を導入して「デジタル権威主義国家」を構築し始めている。20世紀の多くが民主主義、ファシズム、共産主義の社会システム間の競争によって定義されたように、21世紀はリベラルな民主主義とデジタル権威主義間の抗争によってまさに規定されようとしている。(ライト)

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