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2018.6.5 Tue

グローバルな脅威としてのオピオイド、薬剤耐性、感染症

2016年にアメリカでは約5万人がオピオイドの過剰摂取で死亡している。2000―16年でみると、オピオイドの過剰摂取により死亡したアメリカ人の数は、第一次世界大戦と第二次世界大戦のアメリカ人犠牲者の合計を上回っている。このような忌まわしいリスクを前にしても、世界は依然としてこの問題にほぼ無関心なままだ。重要なのは、市場にオピオイドが流通すればすれほど、問題が大きくなっていくことだ。したがって政府は、依存症患者を治療するとともに、製薬会社によるオピオイドの販売とマーケティングを積極的に規制し供給を抑える必要がある。(ハンフリーズ、コールキンス、ブラウン)

毎年、世界では服用回数でみれば数百億回分の抗生物質が消費され、医療の専門家たちは、そのうちの相当量が抗生物質に反応しない(風邪を含む)ウイルス感染症やその他の疾患に無為に使用されていると考えている。このように多用され続けた結果、細菌を殺す抗生物質の効果は弱くなり続けている。一方で、新たな抗生物質の研究開発ペースが鈍化しているために、世界は「ありふれた感染症さえ治療できない」危険な時代に直面する瀬戸際にある。(フェルター)

人類が初めてエボラ出血熱に遭遇したのは1976年。ザイール(現コンゴ)のヤンブク村とその周辺地域で感染が広がり、多くの住民が死亡した。2014年に再びアウトブレイクが起きた。3月半ばにエボラウイルスの感染が急拡大した後、4月上旬までに感染は下火になっていた。この段階で、世界保健機構(WHO)も米疾病管理センター(CDC)もアウトブレイクは収束しつつあると状況を誤認してしまった。だがそれは、小康状態に過ぎなかった。ウイルスは公衆衛生当局の監視の目の届かないところに潜伏し、歴史上、最悪のエボラ危機を引き起こすチャンスを窺っていた。(ギャレット)

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