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2017.7.12 Wed

「イスラム国」後のイラク
―― 解放後になぜ混乱が待ち受けているか

イスラム国の台頭によって、水面下に抑え込まれてきたイラクの民族・宗派対立が表面化し、再燃しつつある。スンニ派対シーア派の対立だけではない。アラブ人とクルド人の対立が先鋭化する一方で、クルド人勢力、シーア派、スンニ派など、同じ民族・宗派集団の内部対立も再燃している。こう考えると、イラクからイスラム国を締め出しても、おそらくイラクにおける武装集団の数が減ることも、社会暴力のリスクが低下することもないだろう。イラクの混乱は収束へ向かうどころか、これまでイスラム国が支配してきた地域で新たに暴力的な抗争が起きることになる。(ミロノバ、フセイン)

ジハード主義者たちが、中東だけでなく、中東を越えたイスラム国のさまざまな「プロビンス」を往き来するようになる事態を警戒せざるを得ない状況になりつつある。だが、われわれは「コア・イスラム国」の指導者と、遠く離れた地域で活動するプロビンスの間で生じる緊張をうまく利用できる。適切な政策をとれば、アメリカとその同盟国は「プロビンス」と「コア・イスラム国」に大きなダメージを与え、相互利益に基づく彼らの関係を破壊的な関係へと変化させることができるだろう。(バイマン)

貧困や失業に苦しみ、イスラム教徒が社会の周辺に追いやられているミンダナオ島では、フィリピン軍とイスラム主義者や共産主義者などの反政府勢力が衝突する流血の惨事が数十年にわたって繰り返されてきた。それだけにイスラム主義のイデオロギーやテロ集団を許容する社会的素地が存在した。しかも、イスラム国(ISIS)勢力がアジアへと軸足を移そうと試みている。一方で、テロ勢力という共通の敵が現れたことでアメリカとの関係が前向きに変化していることにも目を向けるべきだ。両国政府の立場の違いはゆっくりとだが、着実に埋められつつある。(ヘイダリアン)

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