歴史のなかのトランプ
―― 繰り返される秩序との闘い
2025年2月号

ある種の指導者は歴史の流れを変えられるという見方を受け入れるとしても、政治や社会が大きく変化するのは、制度が権威を失いつつあるときだ。事実、民主国家への信頼は失われつつある。そして、国際ルールを破って何の責任も問われない指導者がいれば、それに続く者がでてくる。1914年のように、過ちや誤解が対決へつながっていく危険は常に存在するが、いまやその危険はますます大きくなっているようだ。トランプ政権が孤立主義的政策をとり、NATOから脱退し、中国と対立し、世界の多くの国々と関税戦争に突入すれば、世界はどうなるだろうか。それによって、世界がより安全な環境を手にするとは思えない。