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論文データベース(最新論文順)

異常気象にどう対処するか
―― 米中の適応格差の意味合い

2026年8月号

アリス・C・ヒル 米外交問題評議会 シニアフェロー(エネルギー・環境問題担当)
メンギエ・チュー スタンフォード大学 ナチュラル・キャピタル・アライアンス 上級研究員

中国の指導者たちは、気候変動リスクとその悪影響を抑えるための「適応」の必要性を真剣に受けとめて、国家主導型の対策をとっている。これは、何世紀にもわたって、中国の政治的正統性が、洪水や干ばつなどの自然災害を管理する政府の能力と結びつけられてきたからだ。一方、アメリカの場合、国レベルでの「適応」努力は存在しないも同然で、現状では、州や都市レベルでの対策がとられているにすぎない。今後予想される異常気象に備えるための長期計画では、中国はアメリカをはるかにリードしている。ワシントンは今こそ適応策への投資を優先しなければならない。もし行動を起こさなければ、米経済は、膨大な電力を必要とするAI領域を含めて、重大な結末に直面することになる。

AIの経済機会と政治危機
―― 危機を回避し、創造的破壊を生かすには

2026年8月号

ジェームズ・A・デビッドソン シルバーレイク 前マネージングパートナー
マシュー・J・スローター ダートマスカレッジ ビジネススクール 教授(国際ビジネス)

米市民の過半数が、人工知能(AI)は雇用を創出する以上に削減するとみなし、若年層に限れば、81%が「AIは雇用機会を低下させる」と考えている。技術としてのAIは大いなる経済的ポテンシャルを秘めているが、適切に管理されなければ、雇用危機を引き起こす。状況に不満を抱く若者を中心に深刻な政治的、社会的危機に今後遭遇するかもしれない。重要なのは、新技術が引き起こす労働市場の混乱を乗り越え、将来の恩恵を十分に確保できるかだ。歴史が示すところは明白だ。創造的破壊が政府の政策対応のペースと範囲を超えるとき、イノベーションに対する抵抗が生じる。幸い、混乱への解決策はある。

ハートランド対リムランド(下)
―― リムランドはまとまれるのか

2026年8月号

マイケル・ベックリー タフツ大学 政治学准教授
ハル・ブランズ ジョンズ・ホプキンス大学 特別教授

リムランド経済は、ハートランド経済よりも規模が大きく、先進的であるだけでなく、より自立した世界経済として機能できる多様性も備えている。だが、リムランドの最大の強みである「多様性」は、一方では弱点でもある。脅威への共有認識が希薄で、インドやサウジのような二股国家を内に抱え、アメリカへの信頼も失墜している。課題は、リムランドを拡大することではない。いかに一体性、一貫性を高めるかだ。現在、問われているのは、リムランドがまとまりのあるパワーの中枢として行動するのか、それとも緩やかで脆弱な集合体のままであるのかだ。

ハートランド対リムランド(上)
―― 次の世界秩序をめぐる抗争

2026年8月号

マイケル・ベックリー タフツ大学 政治学准教授
ハル・ブランズ ジョンズ・ホプキンス大学 特別教授

中国・ロシア・イラン・北朝鮮などの「ハートランド」勢力が、軍事・経済・技術・デジタルネットワークを通じて米主導の「リムランド」秩序に挑戦している。アメリカ、欧州、東アジアなどのリムランド連合は、経済規模、技術力、市場、金融・資源面で優位にあるが、その力を戦略的に組織化できていない。ハートランド勢力は「領土的な勢力圏に分割され、産業上のチョークポイントで支配される世界」を望んでいる。現状で問われているのは、リムランドがまとまりのあるパワーの中枢として行動するのか、それとも緩やかで脆弱な集合体のままであるかだ。国際秩序を有利に形作れるかは、リムランド連合がそのパワーを戦略に転換できるかにかかっている。

拡大抑止の崩壊と米同盟諸国
―― 韓国とNATOの選択

2026年8月号

ジェニファー・リンド ダートマスカレッジ 准教授
ダリル・G・プレス ダートマスカレッジ 教授

冷戦期とは違って、いまや戦争は主に地域的なもので、アメリカは対外関与を控えつつある。このような世界で、アメリカが遠く離れた同盟国のために核戦争を遂行すると信じるのは難しい。自国の安全のためにアメリカが自己破滅のリスクを冒すとは確信できずにいる同盟国は数多くある。実際、韓国は、自国の安全保障に責任を負わなければならないと最終的に判断するかもしれない。ヨーロッパ諸国も、東欧における核抑止力を強化するために何らかの措置を講じる必要があるとの結論に達するかもしれない。今後、核開発や核共有が検討されることになるだろう。ワシントンにとっての最善の選択肢は、同盟国が独自の抑止アプローチを形作れるように支援し、新しい抑止体制への移行期における戦争リスクを低下させることだろう。

習とトランプの駆け引き
―― 揺るがされる台湾の命運

2026年8月号

リチャード・ハース 米外交問題評議会 名誉会長
デビッド・サックス 外交問題評議会 フェロー

中国はトランプ政権の台湾政策を揺るがし、「アメリカが台湾をどう扱うべきか」についての新たな規範を確立しようとしている。アメリカの台湾へのコミットメントを弱めることで、台北を無力化し、自国の影響下に引き込もうとしている。実際、アメリカが台湾へのコミットメントを弱めれば、台北の防衛への決意、地域同盟のネットワークも弱まり、中国に有利な状況が生まれる。これを回避するには、ワシントンは台湾支援の継続と抑止力の強化への意思を明確に示す必要がある。

中東におけるアメリカの未来
―― 軍事的成果と戦略的敗北?

2026年8月号

デーナ・ストラウル ワシントン近東政策研究所 研究ディレクター

イラン戦争で圧倒的なパワーをみせつけつつも、アメリカは戦略目標を達成できず、中東におけるアメリカへの信頼も失墜している。実際、イラン戦争でアメリカは兵器備蓄を危険なまでに浪費し、もはや、同じレベルの戦争を現状で戦う力は残されていない。米市民は、これ以上の中東関与を望んでいないし、湾岸諸国もアメリカ以外にも防衛パートナーを求め始めている。アメリカにとって、現在の中東における最大の問題は、軍事的成果を戦略的勝利に結びつけられずにいることだ。今回の戦争は、アメリカパワーの決定的な矛盾を象徴するものとして歴史に刻まれることになるのかもしれない。

米中関係の本質
―― 競争的共存の条件

2026年8月号

汪錚 シートン・ホール大学 教授(外交、国際関係学)

半導体であれ、レアアースであれ、米中双方は相手に対する手段や影響力をもっているが、どちらもそれを決定的には行使できない。これは、米中が「グローバルな経済・技術システムから相手を完全には排除できない状況を共有していること」を意味する。ともに相手を傷つけられるが、戦略的に無意味な存在に追いやることはできない。だからこそ米中は、デカップリングにも、新たな相互依存にも向かっていない。つまり両国間のダイナミクスは「競争的共存」ということになる。それには、米中がともに自制し、紛争を管理し、特に「台湾をめぐる戦略的安心感」を育むことが必要になる。

イラン戦争のグローバルな帰結
―― 対米不信と中国の影響力拡大

2026年8月号

イアン・ブレマー ユーラシア・グループ 創設者
フィラス・マクサド ユーラシア・グループ マネージング・ディレクター(中東・北アフリカ担当)

イラン戦争を経て、中東諸国は、イランとイスラエルの脅威を軸に対立する二つの陣営に分かれつつある。一方には、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)を中核とし、アメリカと連携する「アブラハム連合」があり、その対極にはサウジ、トルコ、パキスタンなどのスンニ派の主要国を中核とするイスラム連合が存在する。後者はイランだけでなく、イスラエルも脅威とみなしている。中東における対米不信が高まるなか、戦後の中東でより大きな役割を果たせる立場にあるのが中国だ。特に、貿易、エネルギー、デジタルインフラの分野で、中国と地域諸国との協力が進むだろう。「アメリカはもはや信頼できず、ワシントンへの長期的な依存を減らすことを戦略的必要性」とみなしているのは中東諸国だけではない。ヨーロッパ、アジアでも、この認識が広がりつつある。

米軍基地と戦時アクセス権
―― 台湾危機と日豪基地

2026年7月号

レイチェル・メッツ ジョージ・ワシントン大学 アシスタント・プロフェッサー

敵の近隣諸国で基地アクセスを確保できれば、敵国を米軍の短距離兵器の射程に組み込み、補給線を短縮し、作戦を持続できる。つまり、同盟国やパートナー国の領土、領空、領海、またはインフラを軍事作戦のために利用する権利を認める戦時アクセス権があれば、世界中の国をアメリカの「隣国」に変えることができる。だが、戦時アクセス権を認める国は、米軍がその国から攻撃を試みることで、リスクにさらされる。イラン戦争で湾岸諸国が直面したのと似たような状況に陥る。台湾を中国による侵攻から防衛する計画は、戦時にオーストラリアと日本(そして潜在的にはフィリピンと韓国)の基地にアクセスすることを前提にしている。だがこれらの国が、国内の滑走路から米軍機が出撃することを許せば、中国のミサイルが自国の軍事インフラに降り注ぐ危険を考慮しなければならなくなる。

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