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ウクライナ戦争はもはや制御不能か
―― レッドラインとエスカレーション

リアナ・フィックス 独ケルバー財団 プログラム・ディレクター(国際関係)
マイケル・キマージュ 米カトリック大学教授(歴史学)

What If the War in Ukraine Spins Out of Control?: How to Prepare for Unintended Escalation

Liana Fix 独ケルバー財団のプログラム・ディレクター(国際関係)。アメリカのジャーマン・マーシャル・ファンドのレジデント・フェローを経て現職。
Michael Kimmage アメリカ・カトリック大学歴史学部教授。米ジャーマン・マーシャル・ファンド客員研究員。2014年から2016年まで、米国務省の政策企画部スタッフとして、ロシア・ウクライナを担当した。

2022年9月号掲載論文

プーチンは傲慢さと怒りから、欧米を驚かせ、徹底的に脅かすには、戦争を劇的にエスカレートさせるしかないと判断する恐れがある。「現状がかつてないものであること」を認識する必要がある。何年も続く可能性のある大きな戦争が、無政府状態に近づきつつある国際システムの中枢で血を流している。リベラルな国際秩序のルールに従うように教育されてきた同盟国の政策立案者と外交官は、無秩序のなかを歩んでいくことを学んでいかなければならない。「戦場の霧」が、ソーシャルメディアのスピードと信頼性の低さによってさらに濃くなり、辺りを覆っている。この霧がもっともうまく考案された戦略さえも曖昧にしてしまうかもしれない。世界を震撼させたキューバ・ミサイル危機は13日間続いたが、ウクライナ戦争が引き起こす危機は今後長期的に続く。

  • 戦場の霧と暗黙の了解
  • レッドライン
  • 暗黙の了解
  • 偶発事故とエスカレーション
  • 簡単な解決策はない

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