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皇太子率いる全体主義国家の誕生
―― もはやかつてのサウジにあらず

マダウィ・アル=ラシード ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス 客員教授

Why the U.S. Can’t Control MBS
Reining in the Rogue Prince

Madawi al-Rasheed サウジアラビアの社会人類学者で、現在は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス中東センターの客員教授。

2018年12月号掲載論文

サルマン国王は王族間のコンセンサスを重視する伝統的な統治モデルを一掃し、息子であるムハンマド・ビン・サルマン(MBS)を皇太子として王国のトップポジションに据える道筋を作った。MBSは副首相、国防相、経済開発評議会議長、政治安全保障委員会議長を兼務し、サウジのソフトパワーツールも管理している。忠誠委員会は、そのメンバーたちが2017年のいわゆる反政治腐敗弾圧によって拘束された後、解体された。皇太子は王族会議も解散し、宗教エスタブリッシュメントを周辺化しただけでなく、批判派と金融エリートも拘束した。サウジの君主制はいまや1人が絶対的権力をもつ全体主義体制へ変化している。完全な服従と皇太子への忠誠を求めるサウジの新全体主義の環境のなかで、カショギ殺害事件は起きた。・・・

  • 変化したサウジの統治システム
  • 権威主義路線の強化
  • 国王と大統領
  • ならず者の皇太子

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