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対イラン強硬策を
―― イスラエル、湾岸諸国との連帯を模索せよ

エリオット・コーエン ジョンズホプキンス大学ポール・ニッツスクール 教授(戦略研究)
エリック・エーデルマン ジョンズホプキンス大学ポール・ニッツスクール 戦略研究センター客員研究員
レイ・タキー 米外交問題評議会シニアフェロー

Time to Get Tough on Tehran

Eliot Cohen ジョンズホプキンス大学ポール・ニッツスクール教授(戦略研究)。米国務省顧問などを経て現職。専門は中東、イラク、軍備管理など。
Eric Edelman ジョンズホプキンス大学ポール・ニッツスクール 戦略研究センター客員スカラー。米国防次官(政策担当)、駐トルコ米大使などを経て、現職。
Ray Takeyh 米外交問題評議会シニアフェロー(中東担当)。国務省シニアアドバイザー(イラン担当)、ワシントン近東政策研究所フェローなどを経て現職。専門はイラン、中東の政治改革、イスラム主義運動など。

2016年2月号掲載論文

イランの核問題に関する最終合意として知られる包括的共同作業計画(JCPOA)は、歴史上もっとも大きな問題を内包する軍備管理合意の一つだ。この合意ではイランがウラン濃縮をする権利だけでなく、ウラン濃縮を産業化する権利さえも認められている。研究・開発施設の建設も許容され、検証・査察制度も実質的に骨抜きにされている。要するに、イランは経済制裁の解除を手にするだけでなく、核開発を正統化することに成功した。ワシントンはアメリカとイランが友好関係など構築できる環境にないことを理解できずにいる。イランの指導者たちが理解している通り、現実にアメリカとの良好な関係を築けば、イランの政治体制そのものが脅かされる。いまや、ワシントンはイスラエル、湾岸諸国とともに、イランに対する圧力行使策をとる以外に道はない。そうしない限り、中東の不安定化とイランの影響力拡大が続くことになる。

  • 和解できぬ相手
  • 杜撰な核合意の本質
  • 合意の再交渉を
  • 対イラン巻き返し策を
  • シリアにおける対イラン政策
  • 湾岸諸国との連携を

<和解できぬ相手>

 

2015年7月にアメリカと他の5大国がイランと署名した核合意は、10年に及んだ軍備管理努力の成果とみなされている。この間に、軍備管理プロセスの一環として、イランの核開発阻止を目的とする経済制裁も発動された。しかし、合意された包括的共同作業計画(JCPOA)は「歴史上もっとも大きな問題を抱える軍備管理合意の一つ」と言わざるを得ない。それでも、オバマ大統領は、合意内容の修正を求める米議会からの圧力に対抗していくと公言している。

最大の問題は、ワシントンが包括的な対イラン政策をもっていないことだ。この数十年にわたってアメリカは、交渉でイランの政治体制を問題として取り上げることを拒んできたが、実際にはイランの核問題がかくも重視されているのは、テヘランの政治体制に問題があるからだ。まともなイラン政策を形作るには、先ずこのイスラム共和国が、「自国の国益についてプラグマティックな評価を下せる通常の国家ではなく、革命レジームである」という事実を認識しなければならない。

レーガン政権以降のワシントンの政策立案者たちはアメリカとイランが友好関係など構築できる環境にないことを理解できずにいる。イランの指導者たちが理解する通り、現実にはアメリカとの良好な関係を築けば、イランの政治体制の存在そのものが脅かされる。イランが、近隣諸国、イスラエルなどの同盟諸国、さらには中東の安定にとって非常に危険な国であるという事実にワシントンは目を背けてきた。

イランがアメリカの国益を脅かしている以上、中東におけるイランの影響力拡大に対する巻き返し策をとり、イランのパワーを切り崩していくべきだ。長期的には、イランは、20世紀に崩壊したソビエトその他の共産主義イデオロギー国家と同じ運命を辿るだろう。だがその時まで、ワシントンとテヘランの間に本当の平和が訪れることはあり得ない。

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