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格差是正の具体策を提言する
―― 累進課税の強化と貧困層の富の拡大策を

アンソニー・B・アトキンソン ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授

How to Spread the Wealth
―― Practical Policies for Reducing Inequality

Anthony B. Atkinson ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授。近著に『21世紀の不平等』(邦訳・東洋経済新報社)がある。

2016年2月号掲載論文

格差がかつてないレベルへと拡大しているのは、富裕層の所得が劇的に増加する一方で、貧困層の所得がさらに減少しているからだ。政治家は格差の拡大や貧困を懸念するが、是正は不可能だと半ば諦めている。だが、格差を是正する具体策はある。まず、所得税を累進的にする必要があるし、「遺産税」を拡大して、これを誰もが18歳になったときにもらえる「最低限所得保障」の財源にすべきだ。収入が一定以下の人に、税控除ではなく、政府が給付金を提供することもできる。失業対策として政府が「最後の雇用主」となるやり方もある。・・実のところ大部分の格差是正策は、すでに私たちの手の中にある。問題は、政府が格差問題に本腰を入れるかどうかだ。

  • 格差是正に打つ手はある
  • 税優遇策から給付へ
  • 政府資産を国富ファンドにまとめよ
  • 旧くて新しい政策

 

<格差是正に打つ手はある>

先進国の成熟した経済の成長率が鈍化するなか、格差がかつてないレベルへと拡大している。家計に占める可処分所得の比率からみても、アメリカにおける格差は1世代前よりもはるかに拡大しているし、イギリスにも同じことが言える。純然たる市場経済国ほどレッセフェール的でないドイツやスウェーデンでも、格差が劇的に拡大している。

その大きな理由は、富裕層の所得が大幅に増加していることだが、貧困層の所得がさらに減少していることも格差を助長している。
政府の統計によると、2014年のアメリカの貧困率は40年前より4パーセント高くなっている。ドイツの貧困も、欧州連合(EU)の基準に照らせば、2000年以降、拡大している。EUは2020年までに2000万人を貧困層から離脱させ、社会に統合することを目標に掲げているが、近年この領域での大きな進展はない。・・・

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