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迫りくる中国経済の危機
―― 人民元下落は危機のプレリュードにすぎない

サルバトーレ・バボネス  シドニー大学准教授(社会学、社会政策)

Turkish President's big gamble

Salvatore Babones シドニー大学准教授(社会学、社会政策)。グローバル化を社会統計で分析し、現在は、アメリカを統計数字で分析するベンチマーキング・アメリカを研究テーマにしている。フォーリン・アフェアーズ・リポート2011年10月号で、「誇張された大国、中国の実像」、2015年4月号で「中国経済はなぜ失速したか」を発表している。

2015年9月号掲載論文

中国で金融危機が進行している。株式市場の混乱、輸出の低迷、そして人民元のクラッシュはまだ序の口にすぎない。今後、人口動態の停滞、資本逃避、そして、経済の多くを市場に委ねるとした2013年の決定がさらに大きな危機を作り出すことになるだろう。高齢化で政府の社会保障関連支出が増大していくにも関わらず、税収を通じた歳入増にはもはや多くを期待できない。「中国は豊かになる前に歳をとる」とよく言われるが、同様に、完全な税制を整備する前に、経済が自由化されれば、歳入を確保するのはますます難しくなる。課税なき自由化は中国政府を第3世界特有の永続的な金融危機に直面させるだろう。主に逆累進税で資金を調達し、社会保障上の責務を果たそうとすれば、中国は、すでにそこから抜け出したはずの第3世界のような状況に陥る。人民元の切り下げは、さらに大きな危機のプレリュードに過ぎず、そこで問題が終わることはない。

  • 迫り来る本当の危機
  • 不透明な徴税と歳入
  • 高齢化と財政の壁
  • 戦術の余地

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