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ギリシャとヨーロッパの出口無き抗争
―― きれいには別れられない

デビッド・ゴードン 前国務省政策企画部長、トマス・ライト ブルッキングス研究所フェロー

Why Greece and Europe will stay attached

David Gordon 前国務省政策企画部長。
Thomas Wright ブルッキングス研究所フェロー。

2015年8月号 掲載論文

ユーロゾーンからギリシャが離脱するのが、急進左派連合にとっても、ヨーロッパ各国の財務相にとっても、最善の選択であるかに思える。だが、「きれいに別れる」という選択は幻想に過ぎない。地理的立地がそれを許さない。ギリシャは、ヨーロッパでもっとも不安定な南東ヨーロッパの中枢に位置している。すでにギリシャの銀行破綻の余波がブルガリアやセルビアに及ぶのではないかと懸念されている。ギリシャが不安定化すれば、南東ヨーロッパの緊張がさらに高まる。それだけに、ギリシャとヨーロッパを結びつける絆は断ち切れそうにない。この点をもっとも深く理解しているのが、アンゲラ・メルケル独首相だ。IMF、アメリカ、多くのヨーロッパ諸国は唯一の打開策が、かつてなく踏み込んだ経済改革を受け入れさせる代わりに、債務救済に応じることであることを知っている。だが、教条的なチプラスとショイブレがそこにいる限り、これが実現する可能性はあまりない。

  • ドイツとギリシャの宗教戦争
  • ギリシャへの体制変革路線
  • 三つのシナリオ
  • 唯一の打開策

<ドイツとギリシャの宗教戦争>

ギリシャがユーロ圏を離脱する可能性はいまやかなり高くなった。交渉を通じてギリシャも債権国も、目の前にある政治的障害を何とか取り除こうと試みてきた。急進左派連合はギリシャ市民に対して、緊縮財政の終わりか、あるいは、ユーロゾーンへの残留かの二者択一ではないと表明してきた。アテネの政治家たちは有権者に「ギリシャの民主的選択」を約束し、安心させようと試みた。

だが、ギリシャの主要な債権国であるヨーロッパ諸国も政治的圧力にさらされていた。しかし、チプラスが「盗人に追い銭をすることにならないか。モラルハザードの先例を作り出すことにならないか」というヨーロッパ各国議会の懸念の緩和に努めることはなかった。・・・

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