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ヨーロッパの人道主義はどこへいった
―― ボート難民が揺るがす欧州の理念

ファブリジオ・タッシナーリ
デンマーク国際関係研究所(DIIS) シニアリサーチャー
ハンス・ルチェット
デンマーク国際関係研究所(DIIS) シニアリサーチャー

Fortress Europe

Fabrizio Tassinari デンマーク国際関係研究所(DIIS)シニアリサーチャー(外交政策担当ディレクター)。ベルリン大学客員教授。最近の研究テーマはヨーロッパ危機後の北ヨーロッパと南ヨーロッパの対立など。
Hans Lucht デンマーク国際関係研究所(DIIS)シニアリサーチャーで、人類学者。アフリカからの移民を研究テーマにしている。

2015年6月号 掲載論文

リビアのカダフィ政権崩壊後、2011年半ばまでに3万のリビア人がイタリアのランペドゥーザ島へと押し寄せた。フランス当局は、移民たちが(イタリアを経由して)フランスに入国するのを阻止しようと、イタリアとの国境線を一方的に閉鎖した。2014年には、地中海を経てヨーロッパへ向かう難民の数は20万を超えるようになり、その途上で犠牲になる人々も3500人に達した。だが、リビアで拠点を築きつつあるイスラム国がヨーロッパを南から脅かす危険が生じているために、ヨーロッパは、アフリカからの難民流入を「対処すべき人道危機」としてではなく、むしろ封じ込めるべきリスクとみなしている。このまま、ヨーロッパがボート難民を受け入れる方法を見出せなければ、地中海は再びヨーロッパの安定を脅かすアキレス腱になる。開放的国境線という近代ヨーロッパの中核理念が、困窮する難民たちによって変化していくとすれば、転覆したボートが、ヨーロッパの失敗を象徴することになるだろう。

  • 人道危機か安全保障上の脅威か
  • 前へと進むには

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