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日本の新しいエネルギーミックス
―― 原子力とソーラーを組み合わせよ

バラン・シバラム  米外交問題評議会フェロー

Japan's Unnecessary Power Struggle: Nuclear vs. Solar

Varun Sivaram 米外交問題評議会フェロー 専門は再生可能エネルギーとテクノロジー、持続可能な都市化、エネルギーと国家安全保障など。

2015年6月号 掲載論文

ソーラーパワーの電力網へのアクセス制限や固定価格買取制度の見直しなど、日本ではソーラーパワー拡大を阻む逆風が吹いている。しかし、「原子力かソーラーか」ではなく、この二つを組み合わせれば、2020年までに日本は化石燃料輸入を3分の1減らすことができるし、電力需要の3分の1を満たせるようになる。日本の電力会社は、ソーラー電力を買い取って電力網に組み込むよりも、安定した資本収益を期待できる一元的な原発施設のほうが好ましいと考えているのかもしれない。しかし、原子力とソーラーを組み合わせてともに推進すれば、エネルギー安全保障を強化し、経済を拡大し、地球温暖化対策上のゴールに近づき、他の諸国が踏襲できるモデルを示すことができる。日本は、安全性に配慮しながら原子力による電力生産を強化するとともに、ソーラーエネルギーを育んでいく長期的なエネルギービジョンを示すべきだろう。

  • 原子力もソーラーも
  • 電力市場改革とソーラー産業の再生
  • 原子力とソーラーは両立できる

<原子力もソーラーも>

日本のエネルギー政策は、公園のシーソーのように揺れ動いている。2010年当時、日本政府は「2030年までに原子力による電力生産を倍増させ、電力需要の半分を原子力発電で満たす」計画をもっていた。

だが、2011年に福島で原発事故が起きて以降、流れは覆された。原子力部門は実質的に閉鎖され、電力生産の90%を(石油や天然ガスなどの)輸入化石燃料資源に依存するようになった。その後、稼働停止している原子力発電所による電力生産の一部をソーラーパワー(太陽光発電)で埋め合わせようと試みた。しかし、政府が原発施設の再稼働に向けて態勢を整え始めると、電力会社はソーラーパワーの受け入れを拒否したり、制限したりするなど、再生可能エネルギーへの適応ペースを鈍化させ、政府もソーラーパワー促進に向けたインセンティブ(買取金額)を引き下げた。・・・

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