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レバノン化する中東
―― 重なり合う宗派主義と地政学の脅威

バッサル・F・サルーク レバノン・アメリカ大学准教授(政治学)

The End of Realist Politics in the Middle East

Bassel F. Salloukh レバノン・アメリカ大学准教授 (政治学) 。専門は、アラブ世界における民主化プロセス、権威主義の台頭と衰退など。

2014年9月号掲載論文

2014年は中東におけるリアリストの地政学抗争に感情的な宗派対立が重なり合う新しい地域秩序が誕生した時代としていずれ記憶されることになるかもしれない。宗派対立へと中東の流れを変化させるきっかけを作り出したのは、2003年のアメリカのイラク戦争だった。その後、地政学抗争と宗派アイデンティティの重なり合いはシリア内戦によってさらに固定化され、これが紛争の破壊性と衝撃を高めている。最近のイラクにおける「イスラム国」(ISIS)の軍事攻勢と勝利も、「排他的で視野の狭い宗派、民族、宗教、部族主義の政治化」という2003年以降のトレンドを映し出している。いまや中東全域がレバノン化しつつある。

  • 宗派主義と地政学抗争
  • 宗派主義と権威主義
  • アラブの春とその後
  • サウジとイランの地政学抗争
  • 制御できない宗派対立
  • 権力分有合意を

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