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幻と化したアラブの春 ―― 過去へと回帰した抑圧体制

ネイサン・J・ブラウン ジョージワシントン大学教授、ミッシェル・ダン カーネギー国際平和財団 シニアアソシエート

The Crackdown on the Muslim Brotherhood Enters a New Phase

Nathan J. Brown ジョージ・ワシントン大学教授(政治学、国際関係論)で、カーネギー国際平和財団のシニアアソシエート(非常勤)。専門は中東の政治、アラブ世界における民主主義と立憲主義、法の支配など。Michele Dunne カーネギー国際平和財団のシニアアソシエート。専門はアメリカの中東政策。アラブ世界における政治・経済の変化など。 

2014年5月号掲載論文

2013年7月のモルシ大統領の解任劇以降、ムスリム同胞団のメンバーを中心に約1万9000人が投獄され、抗議デモの混乱のなかで民間人2500人以上が死亡し、1万7000人が負傷している。現在のエジプトは、その最悪の暗黒時代と同じ類の暴力のなかにある。現在の弾圧は、1952年から1955年にかけてリベラル派、極左勢力、同胞団メンバー2万人が投獄されたナセル時代を想起させる。だが、これまでと違うのは、政争を超えた存在として敬意を集めていた裁判所、軍というエジプトの政府機関が、いまや積極的に弾圧に加担しているようにみえることだ。この変化は、エジプトの裁判所と軍への国際的評価を傷つけるだけでなく、国内でもこれら機関への信頼を損なうことになる。つまり、今後、大規模な蜂起が起こるとすれば、それは、国のあらゆる機関に対する全面的な反乱になりかねない。 ・・・

  • 終わりなき戦い
  • 再現される過去の抑圧
  • 変化した抑圧の構造
  • 事態を収拾するには

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