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Foreign Affairs Update
ロシアのアジアシフト戦略という幻想

フィオナ・ヒル
ブルッキングス研究所 シニアフェローボボ・ロー
英チャタムハウス アソシエートフェロー

Putin's Pivot

Fiona Hill ブルッキングス研究所シニアフェロー(外交政策研究プログラム)。ユーラシア財団(戦略立案部長)、米国家情報会議(ロシア・ユーラシア担当)を経て現職。専門は米欧関係、ロシア、カフカス、中央アジアなど。Bobo Lo 英チャタムハウス、アソシエートフェロー。著書にVladimir Putin and the Evolution of Russian Foreign Policy(Wiley-Blackwell, 2003)などがある。

2013年10月号掲載論文

アメリカに続いてロシアもアジアへと軸足を移そうと試みている。伝統的なヨーロッパ市場ではなく、アジア太平洋市場との関係を強化することで、ロシアの経済成長を刺激したいとプーチンは、考えている。モスクワのアジアシフト戦略は、アジアに影響力を行使したいという願いだけでなく、極東ロシアの人口がまばらであることへの恐れにも突き動かされている。この意味で、その鍵を握るのが中国との関係だ。だが、モスクワにとって中国との貿易関係は、次第に(中国による)新植民地主義的な様相を帯びてきている。ロシアからの主な輸出は原材料で、中国からは製品や消費財を輸入しているからだ。北京は、兵器を別とすれば、ロシアから工業製品を輸入することに関心はなく、武器輸入でさえも、近年は低調で、2006年以降、大がかりな武器貿易契約は交わされていない。アジアシフト戦略をとれば、いずれロシアは「自国の帰属しない東」と「うまく適合できない西」の間で漂流していることを見いだし、失望することになるだけだろう。

  • ロシアのアジアシフト戦略 
  • プーチンの意図
  • 希薄すぎるロシアのアジアプレゼンス
  • 今後の対中関係

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