EdStock/istock.com

Review Essay
ナチス分析をワシントンに伝えたマルキストたち
―― フランクフルト学派と戦争

ウィリアム・E・ショイアーマン
インディアナ大学政治学教授

The Frankfurt School at War

William E. Scheuerman インディアナ大学政治学教授。近代政治思想、ドイツ政治思想、民主主義論、法理論、国際政治理論を主なテーマとし、Frankfurt School Perspectives on Globalization, Democracy and the Lawなど、多くの著書を出版している。

2013年9月号掲載論文

ルーズベルト米大統領にナチスドイツに関する情報分析機関を立ち上げるように求められたウィリアム・ドノバンは、フランツ・ノイマンを筆頭とする「マルキストのユダヤ系ドイツ人思想家」たちにその分析を依頼した。彼らによれば、「ナチスの急進的反ユダヤ主義は、可能なかぎり多くのドイツ人をナチスによる犯罪の共犯者にすることが狙いだった」。彼らは「自分の手が血にまみれていることをドイツ人が認識していれば、連合国と最後まで戦い抜く」とナチスは考えている、と分析していた。こうして、ノイマンと彼のチームは「反民主的な集団が残存するのを許さない絶対的な勝利でない限り、結局は先の敗戦の再現になる」と提言した。ナチズムの基盤をいかに根絶するかについては、「まず連合国が連帯を維持することが不可欠だ」と指摘した上で彼らは次のように提言した。「ドイツを占領し、第三帝国の犯罪の責任を負うべきエリートたちを去勢し、ナチス党を非合法化し、その指導者は裁判にかける。そして、ドイツには二度と軍事力をもたせるべきではない」。だが、彼らの左派的ビジョンが、ドイツのリモデリングに、小さな影響しか与えないことは運命づけられていた。・・・

  • マルキストの提言
  • 過去のドイツとナチスドイツ
  • マルキスト思想家が描いた戦後改革
  • 影響力の限界
  • 水面下の影響力
  • 政策分析と知的多様性

この論文はSubscribers’ Onlyです。


フォーリン・アフェアーズリポート定期購読会員の方のみご覧いただけます。
会員の方は上記からログインしてください。 まだ会員でない方および購読期間が切れて3ヶ月以上経った方はこちらから購読をお申込みください。会員の方で購読期間が切れている方はこちらからご更新をお願いいたします。

なお、Subscribers' Onlyの論文は、クレジットカード決済後にご覧いただけます。リアルタイムでパスワードが発行されますので、論文データベースを直ちに閲覧いただけます。また、同一のアカウントで同時に複数の端末で閲覧することはできません。別の端末からログインがあった場合は、先にログインしていた端末では自動的にログアウトされます。

(C) Copyright 2013 by the Council on Foreign Relations, Inc.,and Foreign Affairs, Japan

Page Top