Drop of Light / Shutterstock.com

中国を対外強硬路線へ駆り立てる恐れと不安
―― アジアシフト戦略の誤算とは

ロバート・ロス ボストン・カレッジ 政治学教授

The Problem with the Pivot

Robert S. Ross アメリカの中国研究者。ボストン・カレッジ教授(政治学)で、ハーバード大学フェアバンク中国研究センターのアソシエート。著作に、『中国の安全保障政策』(Chinese Security Policy: Structure, Power, and Politics)がある。専門は中国の国防政策、ナショナリズム、東アジア安全保障など。

2012年11月号 掲載論文

中国の強硬外交は新たに手に入れたパワーを基盤とする自信に派生するものではなく、むしろ、金融危機と社会騒乱に悩まされていることに派生する中国政府の不安に根ざしている。シンボリックな対外強硬路線をとることで、北京はナショナリスティックになっている大衆をなだめ、政府の政治的正統性をつなぎとめようとしている。その結果、2009―10年に中国は対外強硬路線をとるようになり、近隣国だけでなく、世界の多くの諸国が中国と距離を置くようになった。この環境で、東アジアの同盟諸国は「大恐慌以来、最悪の経済危機のなかにあるアメリカは、自信を深め、能力を高めている中国に対処していけるのか」と疑問をもつようになり、こうした懸念を払拭しようと、ワシントンはアジア地域のパワーバランスを維持できることを立証しようと試み、アジアシフト戦略へと舵を取った。だが、台頭する中国を牽制するはずのアジアシフト戦略は、逆に中国の好戦性を助長し、米中協調への双方の確信を損なってしまっている。

  • アジアシフト戦略
  • 中国の軍事力は過大評価されている
  • インフレ、格差と社会不満の増大
  • 国内の不満とナショナリズムの台頭
  • 対中エンゲージメント政策の終わり
  • 南シナ海・東シナ海の対立

この論文はSubscribers’ Onlyです。


フォーリン・アフェアーズリポート定期購読会員の方のみご覧いただけます。
会員の方は上記からログインしてください。 まだ会員でない方および購読期間が切れて3ヶ月以上経った方はこちらから購読をお申込みください。会員の方で購読期間が切れている方はこちらからご更新をお願いいたします。

なお、Subscribers' Onlyの論文は、クレジットカード決済後にご覧いただけます。リアルタイムでパスワードが発行されますので、論文データベースを直ちに閲覧いただけます。また、同一のアカウントで同時に複数の端末で閲覧することはできません。別の端末からログインがあった場合は、先にログインしていた端末では自動的にログアウトされます。

(C) Copyright 2012 by the Council on Foreign Relations, Inc.,and Foreign Affairs, Japan

Page Top