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人民元の国際化路線を検証する
――中国のドル・ジレンマと経済モデル改革論争

セバスチャン・マラビー
外交問題評議会地政経済学センター所長
オリン・ウェシングトン
元米財務省国際関係担当次官補

The Future of the Yuan
―― China's Struggle to Internationalize Its currency

Sebastian Mallaby 外交問題評議会地政経済学センター所長。Oline Wethington ウェシングトン・インターナショナル会長。米財務省において国際関係担当次官補、中国特使を歴任し、AIG中国の会長を経て現職。

2012年2月号掲載論文

中国は人民元の国際化路線を促進しているが、人民元がドルに取って代わるには程遠い状態にある。経済規模やその他の指標で中国はアメリカに近づいているが、中国が金融覇権を握るとは現段階では考えにくい。むしろ注目すべきは、人民元の国際化路線が、中国の経済モデル変革の水面下に潜む深刻な内部抗争を映し出していることだ。改革派は、過剰な輸出依存は危険であり、中国は国内消費を増大させることで経済成長のバランスをとる必要があると考え、保守派は頑迷に現状維持を主張してきた。だが、金融危機によって中国の脆弱性が浮き彫りにされた結果、「ドルの罠」論への対策として人民元の国際化が公的目標に据えられている。こうして中国政府は現実には両立し得ない道を歩んでいる。輸出を促進しながらドル建て外貨準備を減らし、預金者の犠牲のもとに低金利融資を特定の企業に提供しながら、国内消費を増大させることを目指している。矛盾する路線は中国をどこへ導くのか。

  • 準備通貨としての人民元?
  • 大国が必ずしも通貨の国際化を望まない理由 
  • ドル・ジレンマと成長モデル論争
  • 通貨国際化策がもたらす大きなゆがみ
  • 人民元国際化路線の行方
  • ドルのライバルになれる

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