Everett Historical / Shutterstock.com

思索の人、ジョージ・F・ケナンの遺産
―― 決して満足しない精神

ニコラス・トンプソン ニューヨーカー誌エディター

Ideas Man ―― The Legacy of George F. Kennan

Nicolas Thompson  ニューヨーカー誌のシニアエディターで、The Hawk and the Doves: Paul Nitze, George Kennan, and the History of the Cold Warの著者。ニューアメリカン財団のフェロー。

2012年1月号掲載論文

ジョージ・ケナンは非常に重要な時期に、トルーマン政権の国務省で政策企画部長を務め、第二次世界大戦後の世界を再設計する仕事をした。だが、その後、彼はワシントンのやり方に苛立ちを感じ始め、ワシントンも彼を厄介な存在とみなすようになる。ケナンは聡明であるがゆえに苛立ち、遠大なビジョンの持ち主であるがゆえに不満を抱いた。彼はこの間ずっと、厳格な自己批判、自虐的な考えを自分のメモとして書き残している。「自分がひ弱で、幼稚で、役に立たないだめな人間に思えることがある」。彼の聡明さと自己卑下はつねに表裏一体をなしていた。現状に満足することに不快感を覚え、「われわれ」は「この現状」よりもよくなれると確信していた。「われわれ」が誰で、「この現状」が何であるかは問題ではなかった。ケナンとは、決して満足しない精神そのものだった。

  • 考えることを止めない
  • ケナンの二つの思想
  • 思想家のエピソード
  • ケナンなら現状をどう分析するか

この論文はSubscribers’ Onlyです。


フォーリン・アフェアーズリポート定期購読会員の方のみご覧いただけます。
会員の方は上記からログインしてください。 まだ会員でない方および購読期間が切れて3ヶ月以上経った方はこちらから購読をお申込みください。会員の方で購読期間が切れている方はこちらからご更新をお願いいたします。

なお、Subscribers' Onlyの論文は、クレジットカード決済後にご覧いただけます。リアルタイムでパスワードが発行されますので、論文データベースを直ちに閲覧いただけます。また、同一のアカウントで同時に複数の端末で閲覧することはできません。別の端末からログインがあった場合は、先にログインしていた端末では自動的にログアウトされます。

(C) Copyright 2012 by the Council on Foreign Relations, Inc., and Foreign Affairs, Japan

Page Top