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台頭するアフリカ
―― その経済ブームの秘密とは

エドワード・ミゲル
カリフォルニア大学バークレー校
経済学教授

Africa Unleashed

2012年1月号掲載論文

アフリカが、中国よりも多くの繊維工場を、インドよりも多くのコールセンターを持つようになるのは、おそらく時間の問題だ。人々の教育への間口が広がったこと、民主政治の台頭、技術拡散、経済政策決定の効率化などを通じて、「新しいアフリカ」が誕生している。そこにあるのは、メディアが描く「暗黒の大陸」というイメージとは別次元の明るい世界だ。大陸全体でみても、一人あたり経済成長率は1990年末以降、プラスに転じている。状況が大きく改善しているのは経済だけではない。アフリカ諸国の多くは、1960年代に植民地からの独立を果たして以降初めて、複数政党制による選挙を経験し、いまや、市民的自由、報道の自由も大きく進展している。いったいアフリカに何が起きたのか。

  • アフリカで何が起きたのか
  • 成長のための投資
  • 知識とパワー
  • 成長と成功を持続させるには

<アフリカで何が起きたのか>

1970―1990年代まで、アフリカのサハラ砂漠以南の諸国が壊滅的な状態にあったことは広く知られている。この時期、それまで開発が遅れていたもう一つの地域であるアジアが着実な経済成長を遂げるようになったのに対して、アフリカにおける生活レベルは急激に悪化した。

ほぼすべてのアフリカ諸国で独裁体制が敷かれ、多くの人々が内戦や紛争に苦しめられていた。1990年代には、これに追い打ちをかけるように、HIV/AIDSが大流行し、人々の平均余命を短くした。誰もが「アフリカ大陸はどん底に突き落とされてしまった」と感じていた。専門家の一部はアフリカの将来を悲観し、その凋落を説明するもっともな議論を繰り返し表明した。「アフリカは破綻したも同然だ」。これが、彼らが示したシンプルな判断だった。

だが、この10年でアフリカの将来に明るい兆しがみえてきていることは、ほとんど知られていない。大陸全体でみても、一人あたり経済成長率は1990年末以降、プラスに転じている。・・・

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