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ヨーロッパにとってのパレスチナ・イスラエル問題
―― 和平交渉ではなく、国家建設と経済交流を支援せよ

ローリー・ミラー 英キングス・カレッジ教授

Europe’s Palestine Problem

Rory Miller キングス・カレッジ・ロンドン教授で、中東・地中海研究部長。専門は中東研究。シオニズムと反シオニズム、EUの中東政策、アイルランドの外交政策を研究テーマにしている。近著に『恥ずべき混乱――1967年以降のヨーロッパ、イスラエル、パレスチナ』

2011年11月号掲載論文

アラブ世界では、中東和平プロセスへのヨーロッパの介入を求める声が高まっており、ヨーロッパも和平プロセスへの介入に前向きだ。問題はEU(欧州連合)にもメンバー国にもその役割を果たす力がないことだ。中東和平に関する限り、ヨーロッパは常にアメリカの脇役に甘んじるしかない。和平調停をめぐってアメリカと競い合うことへのこだわりを捨て、むしろ、ヨーロッパにふさわしい役割に特化すべきだろう。それは、パレスチナの国家建設を支援し、イスラエルとパレスチナの起業家を交流させる既存のプロジェクトを支援することに他ならない。EUは新興国に対して、パレスチナ国家支援の道筋を示すモデル国家の役割を果たすこともできる。また、和平交渉プロセスではなく国家建設支援に焦点を絞れば、ヨーロッパはアメリカとの間で緊張が生じるリスクを排除できるだけでなく、EU内部の駆け引きに煩わされることもなくなる。もっとも重要なのは、このアプローチによってEUがイスラエル、パレスチナとの関係の再定義を実現できることだ。

  • ヨーロッパ主導の中東和平?
  • なぜヨーロッパのプレゼンスは小さいか
  • 中東和平におけるヨーロッパの役割
  • 国家建設への貢献を

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