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1930年代の悪夢が再現されるのか
―― 高まる保護主義の脅威

リアクァト・アハメッド ピューリッツァー賞受賞作家リアクァト・アハメッド

Currency Wars, Then and Now
―― How Policymakers Can Avoid the Perils of the 1930s

Liaquat Ahamed 世界銀行勤務を経て、民間の投資機関の顧問などを歴任。著書『ロード・オブ・ファイナンス:世界を破壊した銀行家たち』は、2010年に歴史部門のピューリッツァー賞を受賞した。

2011年4月号掲載論文

1930年代の教訓からみて、失業率が高止まりし、通貨供給、為替、財政政策上の選択肢が失敗するか、選択肢にならない場合、国は貿易障壁を作り出す可能性が非常に高い。・・・しかも、20世紀の初頭同様に、いまや世界はグローバル経済のリーダーシップをめぐる大きな移行期にある。アメリカのパワーは大きく弱体化し、ワシントンには、もはや単独でグローバル経済のリーダーシップを担う力はない。一方で、中国がリーダーシップを果たすとも考えにくい。輸出ばかりを重視する重商主義的な貿易アプローチをとっている限り、北京が困難な状況にある諸国からの輸出を受け入れる開放的市場の役目を果たすことはないだろう。G20もまとまりを欠いている。1930年代と現在の類似性が表面化しつつある。経済は回復しているが、失業率が高止まりし、多くの製造部門は過剰生産能力を抱え込み、通貨問題をめぐる緊張が高まりつつある。1930年代のような深刻で大規模な経済停滞に陥るリスクを回避できたと言うのに、現在の指導者が、1930年代の近隣窮乏化政策を今に繰り返すとすれば、悲劇としか言いようがない。

  • ロンドン世界経済会議と国際協調への決別
  • 1933年ロンドンから2010年ソウルへ 
  • 貿易と金準備の不均衡
  • ドルとグローバルインバランスのジレンマ
  • 通貨切り下げと金融緩和
  • 通貨切り下げ競争はおそらく起きない
  • 主導国なき経済

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