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先進国だけではない、新興国の少子化で世界経済の成長は減速する

ニコラス・エバースタット アメリカン・エンタープライズ研究所政治経済学者

The Demographic Future

Nicholasb Eerstadt アメリカン・エンタープライズ研究所の政治経済学者で、人口問題の研究者。

2010年11月号掲載論文

20世紀の人口増大が公衆衛生の拡大・向上によってもたらされたとすれば、21世紀を特徴付けるトレンドは出生率の劇的な低下になるだろう。先進国社会が高齢化し、高齢社会の重荷が、縮小する一方の現役労働世代にのしかかっていくことは大きな問題として認識されている。だが、あまり認識されていないのが、今後の世界経済の成長を担っていくと考えられる新興経済諸国の人口問題、特に若年労働力人口の減少だ。バラ色の未来を手にしているかにみえる中国も、今後20年間で若年労働力人口は30%、数で言えば1億人減少すると予測されている。これは少子化に苦しむ日本の若年労働力人口の減少率さえも上回っている。一方、若い労働力人口が目にみえて増えるのはサハラ砂漠以南のアフリカだけだ。今後、世界経済が危機を完全に脱したとしても、今後の成長を担うと考えられている新興国も労働力人口の高齢化問題に足をとられるとすれば、世界は生活レベル向上への期待全般を引き下げざるを得なくなるかもしれない。問題を解く鍵は、教育と公衆衛生を通じて、いかに人的資源の質を高め、知識生産と技術革新を実現していけるかにある。

  • 新興諸国の人口減少
  • 出生率の低下に注目せよ
  • 労働力人口の構成に目を向けよ
  • 中国経済を襲う人口動態の嵐とは
  • ロシアの急激な人口減少のなぞ
  • インドの出生率の地域的な格差
  • 停滞する日本とヨーロッパ
  • 例外的に若いアメリカだが・・・
  • 世界の高齢化に対処していくには

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